【8月31日 AFP】アイスランドで「エルフの岩」とされている岩石を道路建設作業員らが誤って埋めてしまって以降、現場周辺では数々の災難が関係者に続いた──。このエルフたちの怒りを鎮めるため、当局は岩の掘り出しを余儀なくされた。地元紙が27日、報じた。

 地元紙モルゲンブラディット(Morgunbladid)によると、問題の岩は、土砂崩れ後のがれきの撤去作業を行った際に埋もれてしまい、これに怒ったエルフたちが、一連の災難をもたらしたというのだ。

 アイスランドでは、エルフたちは日々の生活の一部と考えられている。これまでにも、彼らの居場所を荒らさないよう、建設工事計画が変更されたり、エルフたちの警告に耳を傾ける漁師たちが出漁を拒んだりすることもあった。

 今回の件で、道路建設会社の従業員がモルゲンブラディットに語ったところによると、災難は2015年8月、シグルフィヨルズル(Siglufjordur)を通る国道沿いで埋もれてしまった「エルフの岩」の近くで始まったという。 がれきの撤去作業後、道路は冠水に見舞われ、駆けつけた現場作業員が負傷し、重工業用機械が複数壊れた。さらには、この混乱を取材しに訪れたジャーナリストが泥に落ちる事態も発生している。

 地元の言い伝えでは、この地域は聖地とされているが、この建設会社従業員は「誰も岩のことなんて、思いつきさえしなかった」と語っている。

 一連の出来事を受け、アイスランド道路管理局(Iceland Road Administration)は、岩の掘り出しを決めた。掘り出された岩は先週、高圧洗浄機できれいに泥が洗い流された。この岩は、2012年制定の妖精遺産保護法で「遺物」と定められていた。

 エルフについては、それを見たと主張する数百人の人々から、「人間に似ているが、小さくて、素朴で普段は穏やかな生き物」だと説明されている。

 同国では1971年にも同様の出来事があった。首都レイキャビクから(Reykjavik)から北東方向にのびる国道の建設計画において、通常では考えられないような数々の技術的困難が続発した。この時の工事をめぐっては、エルフの家となっている巨大な岩が、新道路建設のために移動させられるのを嫌がったと言われている。(c)AFP