【8月21日 AFP】人権問題に関する国連特別報告者のアグネス・カラマード(Agnes Callamard)氏はAFPに対し、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領の政権下における超法規的殺害について実態を調査するため、同国を訪問したいとする考えを明らかにした。

 これに対し、これまでにも国連の干渉を嫌う発言を繰り返してきたドゥテルテ大統領は、21日午前1時(日本時間同2時)から地元のダバオ(Davao)で会見し、国連脱退をちらつかせた。

 フィリピンの警察幹部は先日行われた上院議会の公聴会で、麻薬犯罪取り締まりの過程で犯罪関与が疑われる665人を殺害し、自警団も889人を殺害したことを明らかにした。

 国連はこうした取り締まりが国際法で犯罪にあたる疑いがあると指摘しているが、ドゥテルテ政権の主席法務顧問であるサルバドール・パネロ(Salvador Panelo)氏は19日、これに反発し、カラマード氏にフィリピンを訪問して調査してもらいたいと挑んだ。

 カラマード氏は電子メールでAFPに対し、「このところ高まっている超法規的処刑の疑惑に関して、フィリピン当局やその他の当事者および関係者を制約なく調査できるとすれば、(フィリピン)政府の招きを歓迎する」と述べた。

 しかし、フィリピンのエルネスト・アベリャ(Ernesto Abella)大統領報道官は、パネロ氏の発言を訪問と調査の誘いだと捉えたのは、国連の「代弁者」であるカラマード氏の誤解だとの認識を示し「フィリピンは国内問題の調査を誰にも要請しておらず、国連に対しても求めていない」と明言した。(c)AFP