【8月22日 AFP】19日に行われたリオデジャネイロ五輪、ボクシング男子フライ級の準決勝で、姉を元トレーナーに殺されるという人生のトラウマを抱えたベネズエラのジョエル・フィノル(Yoel Finol)は銅メダルに終わったが、これが新たな人生のスタートになると語っている。

 ボクシングで母国に32年ぶりのメダルをもたらした19歳のフィノルは、ウズベキスタンのシャホビディン・ゾイロフ(Shakhobidin Zoirov)に3-0の判定負けを喫し、ずっと夢に描いていた金メダルには届かなかったものの、銅メダル獲得を喜んだ。

 フィノルがメダル獲得に到達するまでの道のりは、想像を絶するものだった。おじの影響でボクシングにのめり込んだフィノルは、2階級を制した世界王者で27戦全勝(全KO勝ち)の実績を誇り、のちに義兄となる元ボクサーのエドウィン・バレロ(Edwin Valero、ベネズエラ)氏をトレーナーに迎えた。

 無敵の王者だったバレロ氏だが、その人生はアルコールと薬物により少しずつ崩壊し、2010年4月にはフィノルの姉でもある妻ジェニファー・カロライナ・ビエラ・デ・バレロ(Jennifer Carolina Viera de Valero)さんを刺殺。さらにその2日後、バレロ氏は勾留されていた警察署で自殺した。

 この悲劇が起きたあと、五輪の金メダルを胸に誓ったフィノルだったが、そのための資金を集める方法は一つしか知らなかった。――それは、ストリートファイトで金を稼ぎ、自分の野望をかなえるというものだった。

 残酷な運命で姉を失ったことについて、フィノルは「人生にはそういうこともある」とすると、「姉を失ったことは本当に悲しかったけれど、あれから6年が過ぎたし、つらいことは乗り越えられる。彼のことも許したから、僕はもう大丈夫だ」と語った。

「メダルを手に入れたので、これからの人生は変わるだろう。人間としてだけでなく、スポーツマンとしてもね。母国に戻り、これから先のことを見極めることになるけれど、自分の人生は変化していくと確信している」

 フィノルはリングの中でも良い方向に向かっていると前向きに考えており、すでに2020年の東京五輪を見据えている。

「これから先も長いキャリアが待っているし、東京五輪はまだ4年後のことだけど、それまでに少しずついろんなことを学んでいくだろう」

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