【8月16日 AFP】米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は15日、オハイオ(Ohio)州で行った演説で、国際テロ組織を掃討していくための青写真として、北大西洋条約機構(NATO)や中東の同盟諸国と連携していく方針を明らかにした。同時に、移民に対しては極めて厳しい制限を設け、冷戦(Cold War)時に匹敵するような戦いに挑むと言明した。

 自身が招いたさまざまな騒動が原因となり、ここ数週間の世論調査で支持率が急落しているトランプ氏。ライバルの民主党候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官から、国民の命を危険にさらしているという非難を受ける中、安全保障や治安対策面で強硬姿勢をアピールする戦術に出た格好だ。

 トランプ氏は先に、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」を生み出したのはバラク・オバマ(Barack Obama)大統領とクリントン氏だと発言して激しい批判を招いていた。この日トランプ氏はトーンを和らげ、ISはオバマ大統領とクリントン氏が下した「政策決断の直接的な結果」だと言い直した上で、この政策を終わらせて「過激なイスラム主義の拡散を食い止める」ためには同盟国との連携を図っていく「新たな手法」が必要だと訴えた。

 またトランプ氏は、NATOとも「非常に緊密に」協力していく意向を示した。以前は、自分が大統領に就任すればNATO加盟諸国の防衛のために米軍を自動的に派遣する考えはないとしていたが、それを撤回した形となった。

 国内の移民対策としては、米本土で過去に発生した攻撃には「移民または移民の子孫」が関与していたという持論を展開し、新たな身元調査の導入を訴えた。「冷戦中には主義主張の検査を行っていた。われわれが今日直面している脅威に鑑み、新たな検査基準を設けるべき時はとうに過ぎている。私はこれを徹底的な身元調査と呼んで要求していく」と述べた。(c)AFP/Jennie MATTHEW