【8月16日 AFP】ロシアによる国家ぐるみのドーピング違反を受け、リオデジャネイロ五輪では24時間の警備態勢で不正行為を防いでいる。国際オリンピック委員会(IOC)の高官が、15日に公表した。

 ロシアのスポーツ省と諜報機関の主導により、2014年ソチ冬季五輪では定期的に検査室に通じる壁の穴から検体がすり替えられていたことが発覚し、反ドーピングの専門家は監視体制を強化している。

 IOCの医療部門と科学部門を統括するリチャード・バジェット(Richard Budgett)氏は、ロシアの陰謀が明るみに出て以来、世界反ドーピング機関(WADA)は検査手順を厳しく規制していると報道陣に語った。

「当時も優れた専門職員を配置していたが、分析機関の責任者があのような方法で関与することになれば一大事になる。われわれの専門職員に、ここの検査室と検査手順への完全なアクセス権があるのはもちろんのこと、検査室における検体の処置方法も変更した。検体は到着次第開封され、ソチ(Sochi)の時の手順よりも早く処理される」

 先月公表されたWADAの報告書によれば、ソチ五輪では主要検査室に隣接する「作業室」で、夜間に穴を通じて薬物汚染された検体をクリーンな尿にすり替えていたとする巧妙な手口が発覚。

 同五輪でトップのメダル数を獲得したロシアは、2013年の第14回世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)でも、同様の方法でモスクワ(Moscow)の反ドーピング検査機関が陽性の検査結果を隠ぺいしていたことが指摘された。

 バジェット氏はリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で、検体は同市の反ドーピング検査機関に直接運ばれ、改ざんのリスクを避けるために即座に開封していると強調。さらに監視カメラのネットワークも強化しており、検体が保存されている冷凍庫に固定されたものを含めて常時監視していると明かした。

 検体に疑問点があれば、独立の専門家がそれを指摘することになっており、分析機関には別々の国籍を持つ職員と4人の責任者が配置されているほか、WADAのオブザーバーが監視を行っている。

 リオ市の施設では厳格な検査が行われており、バジェット氏によればリオ五輪ではすでに3000件以上の検体が分析されているという。(c)AFP/Talek HARRIS