【8月14日 AFP】イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」は13日、シリア北部でISが拠点としていたマンビジ(Manbij)から逃走する際に「人間の盾」として利用するために拉致していた一般市民2000人のうち数百人を解放した。残りの人々の行方は不明だという。

 トルコ国境に近いマンビジに最後まで残っていたIS戦闘員は、戦闘に敗北した後、12日に同市を放棄した。米国防総省はこの状況をISが「窮地に追い込まれている」証拠だと述べた。2014年にマンビジを制圧していたISにとって、同市からの撤退は米軍の空爆支援を受けるクルド人とアラブ人の合同部隊「シリア民主軍(SDF)」との戦闘における最大の敗北となった。

 SDFによると、IS戦闘員は12日、女性や子供を含む一般市民約2000人を拉致してIS支配下にある町ジャラブルス(Jarabulus)へ向かう際に空爆を避けるための「人間の盾」として利用していた。

 SDFは13日、拉致された市民のうち数百人は解放されたか脱出できたものの残りの人々の行方については不明だと明らかにした。

 SDFの戦闘員は、マンビジには「IS戦闘員は残っていない」と述べた。クルド系テレビ局の映像には、ISの撤退に大喜びする市民の様子が見られ、中には(ISに着用を強要されていた)女性用ベールをはぎ取って笑顔を見せる母親や、SDF戦闘員に抱きつく女性たちもいた。

 SDFは今年5月、トルコ国境からISが事実上の「首都」とするシリアのラッカ(Raqa)に延びる補給路沿いの要衝マンビジの奪還作戦を開始。8月6日にマンビジ奪還に成功したが、市内の所々にIS戦闘員が残って激しい抵抗を続けていたという。

 在英NGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、マンビジおよび周辺地域の戦闘で、子供100人以上を含む一般市民437人が死亡した他、SDF兵士約300人とIS戦闘員1000人以上が死亡した。(c)AFP/Rouba El-Husseini