【8月14日 AFP】(更新、写真追加)キューバ革命を指導したフィデル・カストロ(Fidel Castro)前国家評議会議長が13日、約半世紀にわたって率いた国が変貌していく中で90歳の誕生日を迎えた。

 この日地元のテレビは、カストロ氏が久々に公の場に登場した場面を生中継で伝えた。カストロ氏は白いトラックジャケットを着て、首都ハバナ(Havana)市内にある国内最大規模のカール・マルクス劇場(Karl Marx Theater)で行われた児童劇団の催しに、弟のラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長や、ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領と共に出席した。公の場に姿を見せたのは、4月19日に行われたキューバ共産党大会の閉幕式以来。

 英雄として愛される半面、専制君主として反発も招いたカストロ氏は、現代史に大きな足跡を残した一人とされる。権力の座にあった48年間に10人の米大統領と敵対したが、議長職を辞してから10年間にキューバは変貌を遂げた。米国とは従来敵対関係にあったが、既に国交を回復している。

 かつては数時間にわたって演説し、政府に大きな影響力を及ぼしたカストロ氏だが、現在は自宅で過ごしており、外に出ることは少ない。消息は伝わってこないものの、キューバの国内各地では依然として、無数に設置された屋外看板から同氏の肖像が微笑みかけている。

 カストロ氏は12日遅く国営メディアに掲載された記事で、長年敵対していた米国などについて、かつてとほぼ同様の厳しい批判を展開。バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が今年5月の歴史的な広島訪問で1945年の原爆投下を明確に謝罪しなかったことを非難した。また、広島から3日後に長崎にも原爆を投下したのは「同じように犯罪的」だと述べた。(c)AFP/Hector Velasco