【8月12日 AFP】重量挙げで国家ぐるみによるドーピング問題が深刻化している現状を受け、ドイツ代表のコーチを務めるオリバー・カルソ(Oliver Caruso)氏は、リオデジャネイロ五輪の同競技に出場している7か国は国際大会の出場を禁止されるべきだとの見解を示した。

 カルソ氏は独紙ビルト(Bild)に対し、「(リオ五輪出場を禁止された)ロシアとブルガリアのほかにも、多くの国で組織的なドーピングが行われている」と主張している。

「カザフスタン、ベラルーシ、ウズベキスタン、アルメニア、モルドバ、ルーマニア、ウクライナといった国も同じように出場を禁じられるべきだ。これらの国は、われわれの選手から出場機会を奪っているようなものだ。もしかしたらメダル獲得の可能性さえも盗んでいるのかもしれない」

 選手村で行われたビルト紙のインタビューの中でカルソ氏は、7か国以外にもアゼルバイジャンを批判している。アゼルバイジャンは、リオ五輪で2人の選手が出場を予定していたが、国際ウエイトリフティング連盟(IWF)によって出場を禁じられた。

「カザフスタンでは2012年以来、27人の選手から陽性反応が出ている。アゼルバイジャンでも同様に24人から陽性反応が出た。カザフスタンとベラルーシは1年前に出場を禁止されるべきだったが、処分は五輪後に科されることにになっている。われわれにとってはバカにされているようなものだ」

 リオ五輪の重量挙げでは、2年間の処分から競技に復帰したカザフスタンのニヤト・ラヒモフ(Nijat Rahimov、カザフスタン)が金メダルを獲得。これについてカルソ氏は「処分を受ける選手がいれば、競技に復帰する選手もいる。これでは状況が改善されない。次の世界選手権までには全員が復帰できてしまう」と語った。

 カルソ氏はまた、国際オリンピック委員会(IOC)は国家ぐるみでドーピングを行う国に対しては厳しい立場をとるべきだとの見解を示している。「IOCは『カザフスタンは2012年以降、27件のドーピング違反を犯しているから出場禁止、ベラルーシも14件で出場禁止』といったように決断すべきだったが、実際は五輪参加を認めているんだ」

 元世界王者で1996年のアトランタ五輪では銅メダルを獲得しているカルソ氏は、「重量挙げという競技を今でも愛している。しかし、大会に向けて選手にどのような準備させればいいのか、わからないんだ」と話す。「状況は少しずつ改善しているが、不正には本当に胸が痛い。ドイツの選手もいら立ちが募り、いつか諦めてしまうのではないかと心配している」

 カルソ氏は抜本的な改革だけが重量挙げというスポーツをクリーンにできると考えており、「違反国に対しては『国家ぐるみのドーピングを続けるのであれば、今後はクリーンな国だけで競技を行う』という態度を示すべきだ。こうした状況に終止符を打たなければならない」と語った。(c)AFP