【8月11日 AFP】リオデジャネイロ五輪は10日、柔道男子90キロ級が行われ、コンゴ民主共和国出身の難民選手ポポル・ミセンガ(Popole Misenga)が1勝を挙げて観客を沸かせた。

 五輪史上初の難民選手団10人の一員として大会に臨んだミセンガは、初戦で大方の予想を覆し、同カテゴリーで世界ランク71位のアフタル・シン(Avtar Singh、インド)を破った。

 2013年にブラジルへ亡命申請したミセンガは、続く3回戦で世界王者の郭同韓(Dong-Han Gwak、カク・ドンハン、韓国)に敗れたものの、動きを見せるたびに声援を受けたり、指導した審判に対するブーイングが起きたりするなど、アリーナの大半を味方につけていた。

 ミセンガはほとんど防戦一方だったが、郭を投げようとした時には観客から「ポポル! ポポル!」と大声援を送られた。最後は郭の固め技による一本勝ちで決着したが、両者が礼をする場面では、まるでミセンガが勝ったかのような拍手が湧き起こった。

 韓国の強豪に善戦して新たな高みへの手応えを感じたミセンガは、「どうにか出場できて、1勝を挙げられたし、世界王者との試合では相手に投げさせなかった」とコメント。観客が味方してくれたことについても、「とてもうれしかった。ブラジルが僕を応援してくれた」と感激していた。

 まだ試合の汗が流れていたミセンガは、自分や世界中の難民が直面している試練にも、「僕は再び世界王者と対戦できるように、もっと強くなってみせる。コンゴにいる子どもたちや難民にメッセージを送るよ。自分を信じろ」と胸を張った。(c)AFP/Sebastian Smith