【8月7日 AFP】リオデジャネイロ五輪は6日、体操男子予選が行われ、フランスのサミル・アイ・サイド(Samir Ait Said)が跳馬で着地に失敗して脚を骨折する大けがに見舞われた。他選手はショックを隠せない様子で、危険な技への挑戦が求められる現在の採点システムに疑問を呈している。

 26歳のアイ・サイドは不自然な形で着地し、左の下肢を骨折した。フランス選手団はその後、アイ・サイドが脛骨(けいこつ)と腓骨の両方を骨折していることを発表した。

 リオ・オリンピック・アリーナ(Rio Olympic Arena)のマットに倒れたアイ・サイドは脚を押さえながら苦痛にうめき、見た目にもはっきり折れ曲がった脚に、観客はおののいて息をのんだ。アイ・サイドはその場で数分間治療を受けた後、拍手を浴びながら担架で運び出された。

 アイ・サイドは4年前のロンドン五輪も膝の負傷で出場できなかったが、今回の五輪でも涙をのむ結果となってしまった。

 フランス選手団の幹部はAFPに対して、「まだ気持ちを整理しきれていません。予想外のことで、ショックです」と話した。

「チームを誇りに思います。ほかの選手の試技がまだ残っていましたが、やり切ってくれました。なんとか集中しなおしましたが、(選手が)今は参っています」

 ほかの選手も明らかにショックを受けた様子で、ロンドン五輪の鉄棒で銀メダルを獲得したファビアン・ハンビューヘン(Fabien Hambuechen、ドイツ)は、「アップ中にテレビで見た」と話している。

 また、ロンドンの個人総合銅メダリストのダネル・レイバ(Danell Leyva、米国)は、「ほかの選手が『見るな、見るな』って言ってるのを聞いた。チームは別だけど知り合いだし、サミルのことは14歳のころから知っている。本当にひどい。だけど僕らにはやるべきことがある」と話した。

 つり輪を最も得意とし、欧州選手権を制した経験も持つアイ・サイドは、同種目ではメダルも期待されており、今予選ではロンドン五輪金メダリストのアルツール・ナバラッテ・ザネッティ(Arthur Nabarrete Zanetti、ブラジル)と同点の暫定3番手につけていた。(c)AFP