【8月6日 AFP】米フロリダ(Florida)州の巡回裁判所で先月22日、仮想通貨「ビットコイン(Bitcoin)」は本物の通貨ではないという判断が下されたが、皮肉にもこの判断が金融システムの影にとどまってきたビットコインの使用を促すことになるかもしれない。

 同裁判所は、1500ドル(約15万円)相当のビットコインをおとり捜査官に売ろうとしたとしてマネーロンダリング(資金洗浄)などの罪に問われているマイケル・エスピノーザ(Michel Espinoza)被告に対する訴えを棄却した。おとり捜査官はエスピノーザ被告に対し、ビットコインを使って盗難クレジットカードの番号を買うつもりだと語ってビットコインを入手した。

 エスピノーザ被告の弁護人、レネ・パロミノ(Rene Palomino)氏によると、テレサ・プーラー(Teresa Pooler)裁判官は、個人が自らの財産を売却することは違法ではなく、本件は無認可金融サービスの運営を構成しないと認めた。この判断は、ビットコインの売買に特定の許可証は必要ないということを意味する。

 プーラー裁判官は「本法廷は経済学を専門とするものではないが、ビットコインが通貨と同等になるまでにはまだだいぶかかる」とも述べた。

 米バリー大学(Barry University)のチャールズ・エバンス(Charles Evans)教授(金融学)は「今回の判決は間違いなく、他の裁判所に対し一定の指針を与えるだろう」と述べ、他国でもビットコインの使用に付きまとう悪いイメージを回避するための判例として用いられる可能性があると話した。

 法廷で専門家証人となったエバンス教授は、ビットコインには価値保存機能があり、インフレに対する防御策として使うこともできると述べ「通貨単位とはみなされないが、例えば魚やたばこを交換に使うように、交換品として使用できる」と語った。(c)AFP/Luc OLINGA