■マウス実験でも防止作用を確認

 論文の共同執筆者で、米シカゴ大学(University of Chicago)人類遺伝学部長のキャロル・オーバー(Carole Ober)教授は「アーミッシュの家もフッター派の家も、汚れているわけではない」と説明。そして「どちらもきれいに掃除されている。だが、アーミッシュの家の近くには納屋があり、アーミッシュの子どもたちの多くは、はだしで一日中、納屋に出入りしている。家の中には、目立つ汚れはなく、常に清潔に保たれている。それ(微生物生産物)は空気中や、ほこりの中に存在しているのだろう」と続けた。

 今回の研究では、このほこりの作用によって、子どもたちの自然免疫系がぜんそくを撃退していることが明らかになった。

 研究では、7~14歳のアーミッシュの子どもとフッター派の子ども各30人に対して血液検査を実施した。その結果、感染症と闘うために不可欠な血液細胞である「好中球」の数が、アーミッシュの方が多いことが判明した。

 またアーミッシュの子どもでは、アレルギー性の炎症を促進する血液細胞「好酸球」の数が少ないことも分かった。

 次に研究チームは、アーミッシュの家のほこり(ハウスダスト)がある環境にマウスを置いて実験を行ったところ、アレルゲン(アレルギー誘発物質)に対する、ぜんそくに似た反応が妨げられることが分かった。フッター派のハウスダストを用いた同様の実験では、この防止作用はみられなかった。

 論文の共同執筆者で、独ドクター・フォン・ハウナー小児病院(Dr. von Hauner Children Hospital)のエリカ・フォン・ムーティウス(Erika von Mutius)教授は、「今回の研究成果によって、ぜんそくやアレルギーを予防するための新たな方策へとつながる、関連物質の同定が可能となることを期待している」と話している。(c)AFP