【8月4日 AFP】米国で厳格な伝統的生活を続けるキリスト教の一派「アーミッシュ(Amish)」の子どもに喘息が少ない理由は、生活環境内にある農場の動物が保有する微生物との密接な接触が免疫系の強化に寄与しているためだという。研究結果が3日、発表された。

 4日の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に発表された研究論文では、米インディアナ(Indiana)州のアーミッシュと、米サウスダコタ(South Dakota)州の、これも伝統的なキリスト教の一派「フッター派(フッタライト、Hutterites)」の、それぞれが営む共同体2か所の比較が行われた。2つの共同体はよく似ているが、農業の手法に明らかな違いがみられるという。

 アーミッシュは、単一家族の酪農場で暮らしを立てており、野外作業やものを運ぶのに馬を使っている。

 一方のフッター派は、より大規模な共同農場で作業するため、産業化された農場向けのより近代的な農業機械を使用している。そのため、動物との日常的な接触からはある程度離れた生活を送っている。

 これ以外では、アーミッシュとフッター派には多くの類似点がある。遺伝的祖先が同じで、中欧からの移民に由来しており、伝統的なゲルマン民族の「農的な食習慣」を守っている。さらには、生乳を飲む、子どもに予防接種をする、母乳で育児する、室内でペットを飼わないといった点でも共通している。

 だが、両者のぜんそく発症率には大きな違いがある。

 ぜんそくにかかっているアーミッシュの小学生は全体の約5%で、米国平均のほぼ半分だ。一方で、フッター派の子どもでは、ぜんそく発症率が21.3%と異常に高いと論文は指摘している。

 この差は、家の中にある特定の種類のほこりに帰着することを、研究チームは発見した。

 論文によると、アーミッシュの家のほこりには「微生物生産物が豊富に含まれて」いたという。