【8月2日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長は1日、リオデジャネイロ五輪の開幕が刻一刻と迫るなか、大会への最終的な準備が「困難な仕事」だったことを認めた。

 開催地ブラジルでは、政治と経済の大混乱やジカウイルスへの不安に加え、最近ではロシアによる国家ぐるみのドーピング違反が暴かれた問題に揺れている。今年5月にはジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)大統領が職務停止となっており、リオ五輪閉幕から8日後の29日には、政府会計の不正疑惑に関する弾劾裁判が控えている。

 リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で開かれているIOC理事会の冒頭で、バッハ会長は各理事に対し、「ここまでたどり着くのに長く困難な道のりだった」と話すと、「ブラジルは異常な状況に直面しているといっても過言ではない。この国の政治および経済危機は、前例のないものになっている」と述べた。

「この状況が五輪への最終準備を困難な仕事にしていると言わざるを得ない」

 スポーツ省や諜報機関など政府主導によるドーピングの隠ぺい工作が発覚したロシアについて、IOCはリオ五輪から全面的な除外を見送った。その代わりにIOCはロシアの五輪参加の可否を各競技の統括団体に委ね、同国による不正行為の事実をうやむやにした。

 バッハ会長は今回のIOCの裁定について、「母国政府の不正に無関係ならば、その人を罰するすることはできない。現行ではこれらの原則が遂行されている」とすると、「今回の判断は司法によるものだ。司法と政治は独立していなければならず、法律違反を別の法律違反で罰することは、司法を破ることになる」と擁護した。

 IOC理事会は4日に終わり、翌5日にはマラカナン・スタジアム(Maracana Stadium)でリオ五輪の開会式が開かれる。(c)AFP