エリザベス1世の肖像画、国有財産に ドレーク提督の子孫から購入
このニュースをシェア
【7月30日 AFP】イングランド(England)女王、エリザベス1世(Queen Elizabeth I)の姿を後世に伝えてきた肖像画が英国の国有財産として購入された。オークション会社が29日、明らかにした。この絵を英国から流出させないため呼び掛けられた購入資金の募金には大勢の人が協力した。
等身大の肖像画は、1588年にイングランド侵攻を試みたスペインの無敵艦隊を英艦隊が撃破したことを記念した作品で、初めて記録されたのは、英国艦隊を率いた一人、フランシス・ドレーク(Francis Drake)副提督の子孫が1775年に所有したときのこと。今回初めて子孫によって売りに出された。
競売大手クリスティーズ(Christie's)によれば、英ロンドン(London)にある4つの博物館から成るロイヤル・ミュージアムズ・グリニッジ(Royal Museums Greenwich)が、購入価格1030万ポンド(約13億9000万円)が集まった後、この油絵をドレーク一族から相対販売で購入したという。
この「アルマダの肖像画(Armada Portrait)」が描かれたのは1590年ごろで、作者は不詳。この作品がエリザベス1世の壮麗なイメージを決定づけた。静かな波間に浮かぶ英艦隊とは対照的に、迫り来るスペイン艦隊が嵐の中で難破する様子を背景に、金色のと宝石をあしらった豪華なドレスに身を包んだエリザベス1世が地球儀の上に手を置いているというもの。
絵画の購入価格1030万ポンドの内訳は、今年5月以降に集まった8000人以上の一般の人による寄付金150万ポンド(約2億円)と、ロイヤル・ミュージアムズ・グリニッジが用意した40万ポンド(約5400万円)、英国の全国宝くじの売り上げで国内の自然・文化遺産の保護を支援する「ヘリテージ・ロッテリー・ファンド」(HLF)からの740万ポンド(約10億円)。残りの100万ポンド(約1億4000万円)は慈善団体アートファンド(Art Fund)が提供した。
この絵画シリーズには他に現存する作品が2枚あり、1枚はロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリー(National Portrait Galler)、もう1枚はイングランド南東部ベッドフォードシャー(Bedfordshire)のウォバーン・アビー(Woburn Abbey)に所蔵されている。ただし、ドレークにゆかりのある今回の絵が最も重要な作品とみなされている。
英国の収蔵品となったこの作品は、エリザベス1世の生地、ロンドン南東部のグリニッジ宮殿(Greenwich Palace)の敷地内に1616年に建てられたクイーンズハウス(Queen's House)に展示される予定。(c)AFP