【7月29日 AFP】トルコ・イスタンブール(Istanbul)郊外の石だらけの荒れ地に、「反逆者の墓地」と記された看板が無造作に立てられている。レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領の失脚を狙ったクーデター未遂に関与し死亡した軍人を葬るため、イスタンブール市当局が用意した土地だ。

 今月15日に起きた軍の一部勢力によるクーデター未遂では民間人を含む270人が死亡。トルコ当局によれば、首謀した軍人24人が戦闘の中で殺害された。ただ、これまでにこの墓地に埋葬されたのは、家族に引き取りを拒まれた大尉1人の遺体だけだ。墓標はない。

 すぐそばでは野良犬や野良猫を収容する施設が建設中で、死者への尊厳は感じられない。一般市民は墓地への立ち入りを禁じられており、報道陣が映像や写真を撮影する際には警備員の立ち合いが必要だ。

 イスタンブールのカディル・トプバシュ(Kadir Topbas)市長は、「反逆者の墓地」の建設は市議会で提案されたものだと地元メディアに説明。「国を裏切った者は、墓の中ですら安らかに眠ることは許されない」と述べた。

 トルコ宗教局(ディヤネト、Diyanet)は、クーデターに関与した軍人のための葬儀や礼拝は一切行わないと表明している。葬儀の祈りはイスラム教徒の兄弟が死者の贖罪のために行うもので、クーデターに関与した人々は「贖罪にも祈りにも値しない」という。(c)AFP/Fulya OZERKAN