【7月29日 AFP】世界自然保護基金(WWF)は28日、アジア各国に対し、トラの飼養施設すべてを調査し、動物の闇取引に関与した者を厳しく取り締まるよう求めた。29日は「世界トラの日」だ。

 WWFは、合法的に動物保護の使命を担う動物園や飼育センターとは異なる、いわゆる「トラ牧場」を突き止め閉鎖することが決定的に重要だと各国政府に訴えた。

 トラ牧場は、国際的に禁止されているトラの臓器取引と関連づけられている。 トラの臓器取引は、高い利益を生むとされ、違法行為が後を絶たない。

 WWFによると、アジア地域には同様の施設が約200存在しているとされ、その大半は中国、ラオス、ベトナム、タイにあるという。またその飼育個体数は、野生の個体3900頭の約2倍となる約8000頭だという。

 タイでは今年、西部カンチャナブリ(Kanchanaburi)の仏教寺院「タイガーテンプル(Wat Pha Luang Ta Bua)」で野生動物保護当局が死んだ子どものトラ数十頭を冷凍庫内で見つけた。これを受け、同寺院は閉鎖となった。

 WWFのトラ専門家は、「タイガー・テンプルで冷凍され不法取引を待つトラの子どもの衝撃的な画像は、これらトラ牧場が裏で何をしているのか、なぜ閉鎖されなければならないかを示す明白な証拠だ」と述べた。

 アジア地域では、時にトラの臓器が伝統薬として用いられ、男性の精力増強などに効果があると考えられている。

 WWFによると、トラ牧場は「取り締まりを煩雑にし、臓器および商品の取引を標準・合法化することで、かえって需要を押し上げ、野生個体の保護および違法取引阻止の努力を阻害している」という。(c)AFP