【7月29日 AFP】仏エネルギー大手フランス電力(EDF)の取締役会は28日、英国で約20年ぶりとなる新規の原発建設計画を承認した。しかしその発表後、英政府は計画を精査したうえで今秋に最終決定する方針を明らかにした。

 計画は、イングランド(England)南西部のヒンクリーポイント(Hinkley Point)原発に最新の欧州加圧水型炉(EPR)2基を180億ポンド(約2兆5000億円)で新設するもので、2013年に署名されていた。昨年には中国の国有企業、中国広核集団(CGN)がうち3分の1を出資することも決まった。

 ただ、EDFの破綻につながりかねないと懸念する声も上がり、EDFの取締役会は意見が真っ二つに割れた。関係筋がAFPに語ったところによると、取締役会では賛成10人に対して反対も7人いた。取締役の1人は会議の直前に計画に反対するとして辞任したという。

 EDFの決定後、グレッグ・クラーク(Greg Clark)英ビジネス・エネルギー・産業戦略相は「政府は事業の全体を慎重に検討し、今秋の初めには決断を下す」と述べた。建設の実施にはテリーザ・メイ(Theresa May)首相の承認が必要となる。

 英国では1995年に運転を開始したサイズウェルB(Sizewell B)原発を最後に、原子炉は新設されていない。

 計画では、ヒンクリーポイントに新設される原子炉は2025年に稼働を開始する。(c)AFP/Martine PAUWELS