■土地の損失

 報告書では、予測される最大の海面上昇が発生した場合のシナリオについて、「これら軍事施設の使用地および開発地区を含む土地面積の75~95%を今世紀末までに失う」としている。

 また、2100年までには「調査対象となった基地の半数近くが、中度の予測シナリオでは土地面積の25%以上を、最悪のシナリオでは同50%以上を、海への水没によって失う」ことも指摘された。

 他方で、これらの基地の多くでは、暴風雨の勢力がより激しくなることも予測されている。具体的には、その約8割で、今世紀末までに、現在の最も弱い「カテゴリー1」の暴風雨の勢力が、1段階強い「カテゴリー2」のように感じられる程だという。

 報告書の主執筆者で、UCS「気候とエネルギー」プログラムの上級アナリスト、エリカ・スパンガー・ジークフリート(Erika Spanger-Siegfried)氏は「米国防総省は、問題を抱えていることを把握しており、一部の基地は、起こり得る損害を減らすための取り組みをすでに行っている」と述べている。

 ただ、「実際に行われていることと、必要なこととの間には、大きな差がある」とも指摘している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN