【7月28日 AFP】米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏は27日、ロシア情報機関に対し、民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官のメールをハッキングするよう促す発言をした。一方で、自身のロシアとの関係を否定し、露政府が自分を米大統領に選出させようとしているとの臆測を一蹴した。

 米大統領選では、流出した民主党全国委員会(DNC)幹部の電子メールから、同党の候補指名争いでクリントン氏のライバルだったバーニー・サンダース(Bernie Sanders)氏の勢いを止める策が党内部で話し合われていたことが発覚し、波紋を呼んでいた。クリントン陣営は、メール流出にロシアが関与した疑いがあると主張。だがロシア政府は27日、米大統領選への干渉はしていないと否定した。

 トランプ氏は同日の記者会見で、自分はウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)露大統領とは会ったことも話したこともないとした上で、メール流出の背後にロシア政府がいるとの主張を疑問視。「もし犯人がロシアだったら、恐らく違うが、でももしロシアだったら、別の理由で問題だ。わが国への敬意をいかに欠いているかを示しているからだ」と述べた。

 次にトランプ氏は、クリントン氏が国務長官時代の公務に私用メールアカウントを使っていた上に、3万件以上の電子メールを公務に関係ないものだとの理由で削除した問題に言及。「ロシアよ、もし聞いているのなら、消えた3万通のメールを見つけてもらえるといいのだが。報道機関から多大な報酬を受けられるだろう」

 これにクリントン陣営は猛反発し、外国のスパイ行為を奨励する発言だと非難。同陣営のジェイク・サリバン(Jake Sullivan)上級政策顧問は声明で「主要大統領候補が、外国に対して自分の政敵へのスパイ活動を積極的に奨励したのは、史上初めてだ」と批判した。(c)AFP/Leila MACOR