■奨学金で学校に

 ペレス君は8歳のときに、ここで野球を始めた。当時、学校にも在籍していたが、実際にはあまり登校することはできなかった。日々、再利用できるプラスチック製品を集め、それを学費に充てる必要があったためだ。

 マイアミ・マーリンズ(Miami Marlins)のイチロー(Ichiro Suzuki)選手を尊敬しているというペレス君は、スポーツ奨学金を得て高校に通えるようになり、ようやくごみ収集をやめることができた。

 地域チームのヘッドコーチは、最大の問題は子どもたちにごみ拾いをさせるのではなく、遊ばせたり、学校に通わせたりするよう親たちを説得することだと説明する。

 もう一つの問題は、お揃いのユニフォームや最新の用具を持つ裕福なチームと対戦する際に、子どもたちの精神状態が不安定になる恐れがあることだ。事実、ソフトボールチームで3塁を守るリカ・ラコルテさん(13)は、「お金持ちの学校のチームとの対戦では、怖気づいてしまうこともある。私たちのチームでは、グローブを共同で使う必要があるから」とコメントしている。

 そのような不利な状況にあるにもかかわらず、スモーキー・マウンテンのチームは同国のトーナメントで優秀な成績を残している。15歳未満のソフトボールチームは2014年、米国で開催の世界大会にも出場した。

 少年少女らの多くは、まだ貧困地区に住んでいる。それでも、奨学金を得てマニラの有名大学で球技を続けているメンバーの数は現在15人に上るという。(c)AFP/Cecil MORELLA