■環境の変化を予告

 密採者に狙われることが多い幽霊ランは、「The Orchid Thief(邦訳:蘭に魅せられた男―驚くべき蘭コレクターの世界)」という書籍が刊行され、さらに同書を原作にニコラス・ケイジ(Nicolas Cage)とメリル・ストリープ(Meryl Streep)が主演した映画『アダプテーション(Adaptation)』が制作されたことで、ポップカルチャーの世界でも有名になった。

 幽霊ランの愛好家を虜にしているのは、葉のないエロチックな見た目や純白の色、風になびいて揺れる風情だ。花は年に1度、通常6~7月に1週間ほど咲き続ける。

 幽霊ランは生育が難しいことで知られ、特に自然環境から引き離されると枯れずに育つのは輪をかけて難しくなる。

 フロリダ州マイアミ(Miami)にあるフェアチャイルド熱帯植物園(Fairchild Tropical Botanical Garden)のカール・ルイス(Carl Lewis)園長は「幽霊ランが絶滅しかけているのは、密採者が幽霊ランを木から取り出し、森から持ち出し、室内用の鉢植え植物として育てるために国内各地に送ってしまったからだ」と指摘する。

 幽霊ランの保全に努めている研究者らは、これは1つの花の保護にとどまらない取り組みだと訴える。

 ケイン氏は「ランは環境の変化を最初に教えてくれる存在だ」と語り、「幽霊ランの生育方法や元の自生地に戻す方法を理解することは、自然保護にとって非常に重要な土台になる」とその意義を強調している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN