【7月22日 MODE PRESS】東京・台場のフジテレビ社屋とその周辺エリアで開催されるイベント「お台場みんなの夢大陸2016」内に、約3000㎡の巨大なドーム型アートパビリオン「DMM.プラネッツ Art by teamLab」が誕生した。会場では、最新技術を駆使したインタラクティブな作品群が来場者を待ち受ける。

 作品群を製作したのは猪子寿之(Toshiyuki Inoko)が代表を務める、ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ(teamLab)」。プログラマ、エンジニア、数学者など様々なジャンルのスペシャリスト400人以上が所属する日本のデジタルアート集団だ。最先端テクノロジーを使用したアート作品で国内外でのエキシビションを次々と成功させており、今夏はお台場をはじめ、六本木や表参道での展覧会も並行して開催する予定。今回は、日本のデジタルアートを牽引する存在といっても過言ではないチームラボが、ついに大型アートインスタレーションをお台場に完成させた。

カラフルな水面にデジタルの鯉が泳ぎ回る(2016年7月14日撮影)。(c)MODE PRESS/Yoko AKiyoshi

「DMM.プラネッツ Art by teamLab」はチームラボ史上最大規模であり、来場者が迷路のような作品の中を歩き回り鑑賞する、注目のエキシビション。会場内は撮影可能であり、スマートフォンと連動してアートを操作できる仕掛けも多いため、来場者はスマホ片手に楽しめる。主な作品は、LEDで埋め尽くされた白銀の宇宙空間『Wander through the Crystal Universe』 、デジタルの鯉が水面を泳ぎ回る幻想的な泉『Drawing on the Water Surface Created by the Dance of Koi and People – Infinity 』、そして1000万本もの花が宇宙から降り注ぐドーム空間『Floating in the Falling Universe of Flowers』の3つだ。広い空間の中、鑑賞者は寝転んだり、泳いだり、自由に楽しむことができる。そんな大胆な空間演出を仕掛けた猪子寿之に今回の作品コンセプトについて語ってもらった。

「チームラボ」代表の猪子寿之(2016年7月14日撮影)。(c)MODE PRESS/Yoko AKiyoshi

■脳がすべて、ではない

「デジタルアート」という先入観を持って会場を訪れた人は、身体を使ったあらゆる仕掛けにまず驚かされることだろう。靴を脱ぎ、ズボンの裾をたくし上げてエントランスをくぐる先には、驚きの演出が待っている。「体ごと、巨大なアート空間に入っていくような体験をしてもらいたかった。アートに限らず、現代人はスマートフォンやネットを見ただけで、何かを知ったつもりになっている。自分は脳がすべてなんじゃないかと錯覚してしまうくらい」と猪子は説明する。「でも本来は、身体による体験でしか価値観というものは変えられない。だから裸足で水の中に入ったりすることで、自分の身体性を再認識してほしかった」

 猪子にとって「身体的な体験としてのアート」はずっと大きなテーマだったという。今回の新作では迷路や暗闇も用意されている。「身体で考え、アート空間の中でさまよう。すると道を見失い、自分がどこにいるのか分からなくなる。やがて自分というものの概念すら良い意味で曖昧になるような、そんな体験をしてもらいたいと思っている」

クリスタル ユニバースの中に立つ猪子寿之(2016年7月14日撮影)。(c)MODE PRESS/Yoko AKiyoshi

■自らもアートであり、世界である

 そしてスマートフォンを通じて惑星や花をデジタル空間へ投げ入れることができるなど、インタラクティブな演出も多い。人間が介入することで作品がリアルタイムに変容し、予測できない展開をする。テクノロジーと人間が関連することで、二度とない瞬間が次々と生まれていく。そんな作品の意図について猪子はこう説明する。「人は、世界がすでに作られ与えられたものと考え、その中でそれに従って生きている。でも本来、世界は自ら作るものだから」

 すでに出来上がったものを投影するだけなら、何も変化しない。ただ完成品を受け入れるだけでなく、自らも含めて「アート」であり「世界」であるということを体験してもらいたいと猪子は語る。「他者というのは理解も予測もできない、コントロールできない存在。もともとはそういった他者と共に世界は作られてきたのに、今は境界線があってお互い関与しなくなりがち。だから僕は、自分や他者の存在によって変わっていくというような世界がいいなと思う」

鑑賞者の介入によって変化し続けるインスタレーション(2016年7月14日撮影)。(c)MODE PRESS/Yoko AKiyoshi

 また五感に訴える演出として印象的なのが、各空間に漂う特別な香りだ。光の彫刻で宇宙空間を表現したインスタレーションの中にも、意外なこだわりがあった。「今回一緒にやろうって言ってくれたDMM.プラネッツの方に『せっかくだから宇宙の香りを漂わせよう』と提案されて『宇宙の香りがどんなのか分からないんですけど』と言ったら『ちょっと宇宙飛行士呼んでくるわ』と言われて」と猪子は笑う。そうして出来上がったのが宇宙飛行士の山崎直子(Naoko Yamazaki)が監修したミステリアスな宇宙の香りだ。

再現された宇宙の香り漂う空間を楽しむ鑑賞者たち(2016年7月14日撮影)。(c)MODE PRESS/Yoko AKiyoshi

 猪子が作り上げたのは自己と他者、テクノロジーとアート、そしてお台場と宇宙までがシームレスに繋がりあう不思議な世界。脳だけでなく、身体全体で味わう作品は、自らの固定概念を覆す刺激的なきっかけとなりそうだ。鑑賞者もまたアートの一部となれるこの新時代のアトラクションを、ぜひ大人も子供も裸足になって体験してほしい。展覧会は8月31日までお台場・青梅周辺エリアにて開催。

■開催概要
「DMM.プラネッツ Art by teamLab」
会期:開催中〜8月31日(水)
会場:東京・お台場・青海周辺エリア(「お台場みんなの夢大陸2016」会場内)
時間:10:00~18:00(7月16日~7月28日)、10:00~22:00(7月29日~8月31日)
休館日:なし
料金:
・1DAYパスポート 一般 2,000円/小中学生 1,300円(税込)※お台場みんなの夢大陸2016共通の入場チケット
・ナイトチケット 一般 1,000円/小中学生 500円(税込)(17:30~販売開始)※18:00〜22:00にDMM.プラネッツ Art by teamLabのみに入場できるチケット
・DMM.プラネッツ Art by teamLab用プライオリティチケット 一般1,500円/小中学生700円 ※未就学児無料

■関連サイト
・展覧会特設サイト: http://exhibition.team-lab.net/dmmplanets2016/
・プライオリティチケットの購入はこちら: https://event.dmm.com/detail?event_id=73763
・お台場みんなの夢大陸2016 オフィシャルサイト: http://www.odaiba.com
・株式会社DMM.com http://labo.dmm.com/
・チームラボ公式サイト:https://www.team-lab.net/jp/
・公式動画 Wander through the Crystal Universe https://youtu.be/tPKBDPWOtGk
・公式動画 Floating in the Falling Universe of Flowers https://youtu.be/Wyl_1yu47cY
・公式動画 人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング - Infinity https://youtu.be/mv5O5Rkc6d8
(C)MODE PRESS