【7月21日 AFP】イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(Manchester United)が、イタリア・セリエAのユベントス(Juventus)に所属するMFポール・ポグバ(Paul Pogba)の獲得に近づいている。成立すれば、サッカー史上最高の移籍金1億ポンド(約140億円)規模の大型移籍となるのは確実とみられる。

 英メディアの報道によれば、ユナイテッドはエド・ウッドワード(Ed Woodward)最高経営責任者(CEO)が20日、チームの中国遠征への同行を取りやめ、ポグバの代理人を務めるミノ・ライオラ(Mino Raiola)氏と会談。税引き後の週給22万ポンド(約3100万円)の5年契約で交渉を行ったという。

 ユナイテッドは当初、移籍金8600万ポンド(約121億円)を提示して、ユベントスに拒否されたとみられている。そこで改めて、2013年にギャレス・ベイル(Gareth Bale)がレアル・マドリード(Real Madrid)へ移籍した際の過去最高額、8500万ポンド(約120億円)をゆうに上回る額を提示し、ユベントスの決心を揺るがせにかかっているようだ。

 ユベントスは、最低でも移籍金1億ポンド、プラス出来高800万ポンド(約11億円)以上でなければポグバを放出しない姿勢を明確にしている。また、ジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)監督がポグバを高く評価するレアルも獲得を狙っているといわれていることから、ユナイテッドは交渉成立を急いでいる。

 今季からユナイテッドの指揮官に就任したジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督は、ユナイテッドを常勝クラブに戻し、同時に昨シーズン途中解任されたチェルシー(Chelsea)での失態を忘れさせるべく、すでに移籍市場に5000万ポンド(約70億円)以上を投入して、就任1年目から結果を出すことに意欲を燃やしている。

 ユナイテッドはこれまでに、ビジャレアル(Villarreal CF)からはDFエリック・バイリー(Eric Bailly)、ボルシア・ドルトムント(Borussia Dortmund)からはMFヘンリク・ムヒタリアン(Henrikh Mkhitaryan)を獲得し、またパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)を退団したFWズラタン・イブラヒモビッチ(Zlatan Ibrahimovic)も移籍金なしで呼び寄せた。

 それでも、モウリーニョ監督はポグバを最大の補強ターゲットと考えており、いくら払ってでも獲得しようという指揮官の執心ぶりもあって、ポグバの去就はこの夏一番の話題となっていた。

 ポグバの獲得は確かに大きな戦力補強だが、オールド・トラフォード(Old Trafford)には、今回の動きを悔しく感じている人もいる。ポグバはわずか4年前までユナイテッドに所属し、移籍金無しでユベントスへ移った選手だからだ。

 当時のアレックス・ファーガソン(Alex Ferguson)監督から、クラブに対する敬意が感じられないと断じられたポグバは、トップチームでの出場はほんの数試合と構想外になっていた2012年、声をかけてくれたユベントスへ移籍し、ユナイテッドに背を向ける決断を下した。

 そこからポグバは、ユベントスでチームのリーグ4連覇に貢献し、欧州有数のMFとみなされるまでに成長した。先日閉幕した欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)でも、決勝へ進出したフランス代表の主力を務めた。

 今回のユベントスは、4年前のユナイテッドと同じ過ちは犯さないだろう。当のポグバは、交渉をライオラ氏に任せ、陽光降り注ぐ米マイアミ(Miami)で吉報を待っている。(c)AFP/Steven GRIFFITHS