【8月1日 AFP】フランス出身の柔道家、ジョルジュ・メディ(Georges Mehdi)さんは、完璧なポルトガル語を話すことができるので、ブラジル人とのコミュニケーションになんら支障はない。それでも、日本人の規律正しさを教え込むのはなかなか難しいようだ。

 柔道9段の腕前を持つ86歳のメディさんは、リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)の道場で開催された上級クラスで、集まった100人以上の生徒に対して「私がしゃべり始めたら座りなさい。それが柔道だ。ここはおしゃべりをする場ではない」と叱りつける。生徒はみな大人で、指導者の資格を持つ人ばかりだが、それでも驚いたブラジルの人たちは静まりかえり、そして腰を下ろす。

 100年以上前に日本で生まれた柔道では、規律や礼儀、上下関係を重視する。無法と隣り合わせの奔放さを持つブラジルの文化とは、まったく相容れないといってもいい世界だ。

 それでも、ブラジルは今や柔道強豪国の一つで、五輪では通算19個のメダルを獲得している。そして8月に開幕する南米初開催のリオデジャネイロ五輪では、その数をさらに増やすことが期待されている。

 では、ブラジルは一体どうやって強くなったのだろうか?