【7月20日 AFP】南アフリカのダーバン(Durban)で開催の国際エイズ会議(International AIDS Conference)で19日、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)ワクチン候補の初期段階の安全性試験で有望な結果が得られたとの研究結果が発表された。この結果を受け、今後のさらなる大規模研究に道が開かれることとなったという。

 18か月間に及ぶワクチン候補の臨床試験「HVTN100」は、南アフリカ国内6施設で参加者252人を対象に実施された。同国は、1980年代以降、世界で3000万人以上の命を奪ったHIVの流行で、最も大きな影響を受けている国の一つだ。

 研究チームによると、今回の試験の参加者らは、性感染ウイルスのHIV感染に関しては低リスクのカテゴリーに入るという。

 HVTN100試験は、新薬をテストするための長期にわたる3段階のプロセスにおける重要な関門を突破。このような初期の段階では、主要なポイントは有効性ではなく、安全性を評価することだ。

 試験が行われた施設の一つで責任者を務めたキャシー・ムンガディ(Kathy Mngadi)氏は、AFPの取材に「このワクチン候補が南アフリカの対象母集団において安全かどうか、また忍容性が高いかどうかを確認したかった」と説明した。

 研究チームは、人体の免疫系がワクチンに反応していることを示す抗体についても調べたという。

 今回の試験は、2009年にタイで実施された革新的な臨床試験を土台として進められた。タイの試験は成果として、世界で初めて部分的な有効性が確認されたワクチン「RV144」をもたらした。

 RV144は革新的と称賛される一方、その治療単位の効果は時間とともに減少し、有効率が1年後の60%から、3年半後には31.2%に低下した。

 HVTN100試験の共同責任者、ファティマ・ラヘル(Fatima Laher)氏は、「RV144は、われわれをこの希望の旅路に送り出したが、その一方で、この分野でいまだに突き止めたり、成し遂げたりする必要があるものを、われわれに示した」と話している。