【7月20日 AFP】ドイツ南部バイエルン(Bavaria)州で、アフガニスタン難民の少年(17)が列車の乗客におのやナイフで襲いかかり5人が負傷した事件で、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」は19日、この少年を映したとする動画を公開した。

 IS系通信社アマック(Amaq)は、「不信心者」の国々を脅迫する少年を映したとする動画を公開。動画の中では、刃物を手にした「モハメド・リヤド(Mohammed Riyadh)」という少年がパシュトウ語で、ドイツで「作戦」を遂行する決意を表明し、自分は「ISの兵士」だと語っている。

 事件は18日夜、トロイヒトビュンゲン(Treuchtlingen)とビュルツブルク(Wuerzburg)を結ぶ路線を走っていた列車内で発生。香港(Hong Kong)からドイツ観光に訪れていた家族4人と通りがかりの1人が負傷し、少年は逃走中に警察官らに襲い掛かり射殺された。負傷者のうち、2人が重体となっている。

 当局によると、少年の所持品からは手描きのISの旗や「遺書」とみられる手紙が見つかった。アマックは動画公開に先立ち、「ドイツで起きた刺傷事件の犯人は、ISの戦闘員の一人だった」と主張していた。

 犯行に及んだアフガニスタン難民の少年は2015年6月、家族を伴わず単身ドイツに入国し、ビュルツブルクの施設でしばらく暮らした後、地元の家庭に引き取られていた。事件を受け、ドイツでは難民流入をめぐる緊張が再び高まる恐れがある。

 メディアは実行犯の名を「リアズ・A(Riaz A)」と報じている。バイエルン州のヨアヒム・ヘルマン(Joachim Herrmann)内相は地元住民らの話として、少年は「穏やかで落ち着いて」おり、「敬虔(けいけん)なイスラム教徒で、過激さや狂信性をうかがわせる要素はなかった」と述べている。また、少年がISに所属していたことを示す証拠は、今のところ見つかっていないという。

 しかし警察は後に、アフガニスタン在住の父親に宛てたとみられる別れの手紙を発見。その中で少年は、世界のイスラム教徒は「自分の身を守らなければいけない」、「僕が無信仰者たちに復讐(ふくしゅう)し、天国に行けるよう、祈っていてください」などと書いていた。(c)AFP