【7月14日 AFP】国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長が13日、リオデジャネイロ五輪出場を個人申請していたロシアの陸上選手のなかで、ここまでに唯一参加を認められているダリア・クリシナ(Darya Klishina)について、中立の立場ではなく、ロシア代表として出場が可能だと語った。

 国際陸上競技連盟(IAAF)は中立での出場を求めていたが、バッハ会長は、クリシナがロシア代表としての出場を認められるべきだと話した。

「彼女はIAAFから資格を認められている。後は五輪憲章にのっとって、彼女の国の五輪委員会が登録の可否を判断すべきだ。出場の場合は、ロシア五輪委員会(ROC)の代表チームの正式な一員となる」

 バッハ会長は、ロシアのドーピングの内部告発を行った陸上女子800メートルのユリア・ステパノワ(Yuliya Stepanova)にも言及し、同選手とクリシナを「同列に扱う」ことはできないと話した。ロシアの組織的なドーピングを初めて告発したステパノワは、中立での出場を求めており、出場には五輪憲章に基づいた特別許可が必要になるという。

 会長は報道陣に対して、「本人から要請があった。彼女はロシア五輪委員会の代表チームで出場することを望んでいない」と話した。

「五輪憲章の特例項目を検証しなくてはならない。倫理的な部分でさまざまな疑問があるので、理事会から倫理委員会に助言を求めている。この件に関するあらゆる状況に鑑みた上で、助言に基づいて判断しなくてはならない」

 ロシアのスポーツ界は、国家ぐるみの薬物違反が明るみに出たことをきっかけに、一大スキャンダルの渦中にある。IAAFはロシア陸連(ARAF)の資格を停止し、米国を拠点に活動するクリシナのみに中立の立場でのリオ五輪出場を認めた。

 ロシア陸上界のスター選手を含む、ほかに68人の選手は、スポーツ仲裁裁判所(CAS)にこの件の仲裁を申し立てている。CASは、IAAFの裁定を覆すか否かの判断を今月21日に下すと発表している。(c)AFP