【7月14日 AFP】ドイツで13日、欧州で初めてとなるスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO(Pokemon Go)」の配信が始まった。ソーシャルメディア上はゲームに熱中する人々の投稿であふれたが、同時に批判も噴出している。

 同ゲームは今月5日以降、米国、オーストラリア、ニュージーランドのみで公開されていたが、欧州の一部ユーザーらは、これらの国から接続しているように装いアプリのダウンロードに成功していた。

 だが、ポケモンの欧州到来を歓迎しない声も上がっている。ポーランド南部のナチス・ドイツ(Nazi)強制収容所跡地に造られたアウシュビッツ博物館(Auschwitz Museum)は、100万人ものユダヤ人が殺害された同地でゲームに興じるのは「不謹慎」だとして、ゲームを開発した米ナイアンティック(Niantic)に対し、アウシュビッツをプレー可能地域から外すよう要請したことを明らかにした。

 ドイツの首都ベルリン(Berlin)では、巨大なホロコースト記念碑や、ナチス体制下で強制収容・殺害されたユダヤ人家族を追悼するため歩道に埋められた銘板「つまずきの石(Stolpersteine)」のうちの数か所でポケモンを捕まえることができたとの報告が、ユーザーから寄せられた。また米首都ワシントン(Washington D.C.)のホロコースト博物館(Holocaust Museum)も、館内でゲームをする来館者に苦言を呈している。

 ナイアンティック社がこうした批判を受けるのは初めてではない。2015年6月には、以前開発したゲーム「イングレス(Ingress)」の中に作られた「ポータル」と呼ばれる場所が、ポーランドのアウシュビッツやドイツのザクセンハウゼン(Sachsenhausen)とダッハウ(Dachau)といった強制収容所跡地で見つかり、博物館側が抗議していた。

 また「ポケモンGO」は既に世界各地のプレーヤーの一部に実生活上の悪影響を及ぼしている。シンガポール在住のあるオーストラリア人は、フェイスブック(Facebook)で「このくそみたいな国ではポケモンが捕まえられない」と不満をぶちまけて激しい非難の声を巻き起こし、勤務開始からわずか1週間で解雇された。(c)AFP/Tom BARFIELD