【7月13日 AFP】米テキサス(Texas)州ダラス(Dallas)で今月7日、警察への抗議デモの最中に銃声が鳴り響いたとき、警察は迷彩服を着て強力な軍用ライフルを持った男性たちに、誤って銃の照準を合わせてしまった。

 テキサス州法では人の目に触れる形で銃を携行すること(オープンキャリー)が認められている。しかし、重大な危機に直面した際に警察の職務を混乱させるとして、この条項には現在、厳しい視線が注がれている。

 デモは、ルイジアナ(Louisiana)州とミネソタ(Minnesota)州で黒人男性2人が相次いで警官に射殺されたことに抗議するためのもので、銃を見えるように携行していた男性も20人ほど参加していた。中にはガスマスクを持ち、防弾チョッキを着ている参加者もいた。

 そして事件が起きた。元陸軍予備役兵士で黒人のマイカ・ジョンソン(Micah Johnson)容疑者(25)がデモを監視していた白人警官をライフル銃で狙撃したのだ。5人の警官が殺害され、7人の警官と2人の市民が負傷した。容疑者は爆弾を搭載したロボットで警察に殺害される前、白人警官を殺したかったと交渉人に語っていた。

 容疑者が銃撃を開始した時、人々が逃げ惑い混乱する現場で警察は、銃を持ったデモの参加者と狙撃犯を見分けるというジレンマに直面した。

 テキサスを含む米国の多くの州では、ライフル銃やショットガンなど銃身の長い銃を公の場で携行するのに許可は必要はない。今年1月には拳銃のオープンキャリーも合法化されたが、それには免許が必要だ。

 ダラス市警のデービッド・ブラウン(David Brown)署長は、抗議デモに銃身の長い銃を持ち込むことを疑問視している。「理解できない。しかし、テキサスではそれが権利として認められている。(それでは)誰が善人で誰が悪人なのか、見分けられない」

 銃を所有するテキサス住民のジョー・コーカー氏は、7日の事件でのダラス市警の対応はもっと評価されるべきだと語った。アサルトライフル「AR15」で容疑者が狙撃を始め、同じような武器を持つ人々が身を隠そうと走り回る中で、警察はむやみに発砲しなかったからだ。

 武装した一般市民との間では銃撃戦にはならなかったものの、ダラス警察はその中の3人を一時的に拘束した。警察はそのうちの1人、マーク・ヒューズという男性の写真を容疑者としてツイッター(Twitter)上に公開したが、その後、誤りであることが分かり、写真を削除した。

 ダラスの銃販売店「レイズ・スポーティング・グッズ」に勤務するコディ・ハリスさんは、今回の事件は極端にまれな例で、銃のオープンキャリーを認める議論に影響を与えるものではないと考えている。

 テキサス州治安当局によれば、人口約2700万人の同州では、2015年末時点で拳銃を携帯する免許が93万7000件発行されている。(c)AFP/Thomas Urbain