【7月13日 AFP】インド西部グジャラート(Gujarat)州の村で、死んだ牛の皮をはいだとして最下層カースト出身の住民が「牛の保護者」を自任する集団に襲われる事件があった。襲撃の様子を捉えた動画がインターネット上に拡散し、地元警察によると12日までに容疑者3人が逮捕された。

 動画には最下層カーストのダリット(Dalit)に属する男性4人が、混雑した市場で裸にされて車に縛り付けられ、ベルトや棒で打たれる様子が映っていた。さらに4人を助けようとしたダリットの別の住民2人も殴られていた。

 インドで国民の多数が信奉するヒンズー教で牛は神聖な動物とされており、グジャラートなど幾つかの州では牛を食肉処理したり、牛肉を食べたりすることが法律で禁じられている。

 とはいえ警察によると、今回のケースでは住民が皮をはいだのは自然死した牛だったという。警察は襲撃したグループ6人のうち3人を殺人未遂で逮捕した。

 インドでは長年、ヒンズー教右派の団体が牛の食肉処理の全面禁止を求めてきた。2014年にヒンズー至上主義者のナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が就任して以降、牛の取引業者らに対する保護組織の襲撃が増えており、昨年は牛肉を食べたり牛を売買したとして少なくとも5人のイスラム教徒がヒンズー教徒の暴徒に殺害されている。(c)AFP