【7月12日 AFP】インド北部ジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州で11日、地元で人望のあった反政府勢力の若者が政府軍に殺害されたことに抗議するデモ隊が、空軍基地に突入しようとして制止する政府軍と衝突した。デモ隊と政府軍との衝突は3日連続で、警察発表によると計30人が死亡、負傷者は警官を含め約300人に上っており、2010年以降の同州で最悪の市民暴動となった。

 カシミール渓谷(Kashmir Valley)一帯に出された外出禁止令に伴って出動した政府軍が実弾や催涙弾を発砲する中、死者のほとんどは銃弾で負傷したデモの参加者だという。

 警察によるとジャム・カシミール州の夏季州都スリナガル(Srinagar)では11日も、数千人規模の人々が外出禁止令を無視して路上に繰り出し抗議デモを展開。空軍関係者によると、数百人がスリナガルの南方約25キロにあるインド空軍基地になだれこんだが、兵士らによって基地外に押し戻された。制圧に銃器が用いられたかどうかは不明。この衝突による死傷者の報告は今のところないという。

 一連の抗議デモのきっかけは、カシミール最大の反政府組織「ヒズブル・ムジャヒディン(Hizbul MujahideenHM)」の指揮官ブルハーン・ワニ(Burhan Wani)氏(22)が8日に政府軍との銃撃戦で殺害されたことだ。HMはインドからの独立とパキスタンへの編入を求め、数十年にわたってインド政府軍との闘争を続けるカシミール武装組織の一つ。

 カシミール地方では1947年にインドとパキスタンが分離独立して以来、両国が領有権を主張し対立が続いている。(c)AFP/Parvaiz BUKHARI