【7月12日 AFP】地球の温度を調節する役割を果たしている雲は、気候変動が原因で、その特性と地球規模の分布に変化が生じているとの研究結果が11日、発表された。こうした雲の変化自体が、地球温暖化を悪化させる可能性があるという。

 衛星画像を集めて詳細に調査した結果、地球の南北半球の極と亜熱帯地方の間に位置する温帯中緯度地帯の雲量が減少していると同時に、亜熱帯乾燥地帯が極方向に拡大していることが、今回の研究で明らかになった。

 また、1980年代初頭からの20年以上にわたる観測データによると、雲の頂上の高さが全体的に上がっていたという。

 研究に参加した米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)スクリップス海洋研究所(Scripps Institution of Oceanography)から発表された発表は「このような雲の変化は、地球による太陽放射の吸収を高め、宇宙空間への熱放射の放出を減少させる」と説明する。「これは、温室効果ガスの蓄積に起因する地球温暖化を悪化させる」

 雲は、太陽放射の一部を宇宙空間へ反射して地表に到達できないようにすると同時に、夜間の地球からの熱損失を制限するための覆いとして機能することで、地球の温度を調節している。

 雲が気候変動によってどのような影響を受け、地球温暖化にどのような影響を及ぼすかは「現在の気候の理解と未来の動向の予測を試みている科学者らにとって、不確実性が最も大きい領域の一つとなっている」と、スクリップス研究所は指摘する。

 地球観測衛星の記録データは、雲の分布に明白な変化が生じていることを示していた。研究チームは次に、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの大気中濃度の経年変化との関係を調べた。

「その結果、観測された雲の動向が、温室効果ガス濃度の人為的な増加と符合すると、研究チームは結論付けた」と、声明は述べている。

 オゾン濃度、人為的なエアロゾル、太陽放射の自然変化などとの間には、同様の相関関係は認められなかった。

■火山噴火の影響も

 2つの大規模な火山の噴火も雲に影響を与えていた。メキシコのエルチチョン(El Chichon)火山の噴火(1982年)とフィリピンのピナツボ山(Mount Pinatubo)の噴火(1991年)は、太陽光を反射する働きがある火山灰などを噴き上げ、噴火後数年間にわたって地球を冷却する効果があった。

 スクリップス海洋研究所の発表は、「このような火山活動が再び起きないかぎり、温室効果ガス濃度の上昇による地球温暖化が続くにつれて、雲の変化は今後も続くと科学者らは考えている」としている。(c)AFP