【7月12日 AFP】スポーツ仲裁裁判所(CAS)は11日、女子テニスのマリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)が2年間の資格停止処分に異議を申し立てている件について、裁定を2か月延期して9月に行うと発表。シャラポワのリオデジャネイロ五輪出場の可能性は完全に消滅した。

 29歳のシャラポワは、1月に行われた全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2016)のドーピング検査で禁止薬物の「メルドニウム(Meldonium)」に陽性反応を示し、その名声に大きな傷をつけた。

 シャラポワが「不当に厳しくされた」と主張する処分がCASに支持されれば、スポーツ界で最も知名度の高い選手の一人とされる同選手のキャリアが終わりを告げることは確実とみられている。

 CASは声明のなかで「シャラポワと国際テニス連盟(ITF)は、CASの裁定を2016年9月まで延期することで合意した」とすると、「選手側と連盟の双方が、証拠資料の準備や確認に時間を要し、日程にもいくつかの支障が生じるため、異議申し立てに関する結論を急がないことで合意に達した。裁定は2016年9月19日に行われる予定である」と発表した。

 当初の予定では7月18日に裁定が下されることになっており、シャラポワが勝訴した場合はロシア代表としてリオ五輪に出場することが認められるはずだった。

 CASはAFPに対し、シャラポワはリオ五輪には出場できないと明言している。ロシアでは国ぐるみのドーピング問題で陸上チームが国際大会への出場を禁じられており、来月5日に開幕するリオ五輪へのロシアの参加は、すでに厳しい状況に追い込まれている。

 ロシアテニス連盟(RTF)のシャミール・タルピチェフ(Shamil Tarpishchev)会長は、シャラポワの不在はリオ五輪での同国のメダル獲得に大きな痛手となると話しており、国営タス通信 (TASS)は同氏のコメントとして、「(これは)五輪に出場するわれわれのチームにとって重大な損失だ。女子シングルスでは、彼女のメダル獲得を期待していた」と伝えている。

 シャラポワの処分は、検査で禁止薬物に陽性反応を示した今年の1月26日にさかのぼって適用されることになる。

 今年から世界反ドーピング機関(WADA)の禁止表に入ったメルドニウムについて、シャラポワは心臓の問題やマグネシウム欠乏症などの治療のため、10年にわたって服用していたと弁明している。

 CASは「シャラポワ氏はCASへの提訴で、反ドーピング規則に違反したとして2年間の資格停止処分を決定したITFの判決を覆す道を模索している」と説明しており、「シャラポワ氏は資格停止処分の期間を解除、もしくは短縮すべきだと主張している。最終判断は準備が整った段階で、CASから発表および声明が出されることになる」としている。(c)AFP