【7月15日 AFP】イスラエル南部ネゲブ(Negev)砂漠の真ん中で、完成すればタワー式太陽熱発電所(ソーラータワー)としては世界一の高さになるアシャリム発電所(Ashalim Tower)が建設中だ。この発電所はイスラエルの再生可能エネルギーへの大きな期待を反映している。

 イスラエル政府と建設を担うコンソーシアム(企業連合)によると、完成予定は2017年後半。タワーの高さは240メートルで、仏パリ(Paris)の高層ビル「モンパルナス・タワー(Montparnasse Tower)」や英ロンドン(London)の「ガーキン(Gherkin)」よりも高くなる。

 ステンレス鋼で覆われた塔の最上部は巨大な灯台のようになり、数十キロ先からも見けつることができるようになる。その足元300ヘクタール(サッカー場400面分以上)にわたって並べられる反射鏡を利用し、最上部の巨大な電球のようなボイラーと呼ばれる区画に光を集める。ボイラーの温度は600度まで上昇し、そこで発生させた蒸気を足元に送って発電する仕組みになっている。

 6億5000万ユーロ(約755億円)に上る建設費は、フランスの鉄道車両・重電大手アルストム(Alstom)のエネルギー部門を買収した米国の電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)が出資。イスラエルの投資ファンド「ノイ(Noy)」も関与している。

 建設計画を担うコンソーシアム「メガリム(Megalim)」のトップ、エラン・ガートナー(Eran Gartner)氏によると、ソーラータワーで生産されるエネルギーは、従来の炭素を使う発電所で生み出されるエネルギーの「2~3倍」高くつくという。

 アシャリム発電所は121メガワット、イスラエルの電力需要の1%、12万世帯分の電力を供給できるようになる。

 人口約840万人のイスラエルは2020年までに、エネルギー消費量全体の10%を再生可能エネルギーとすることを目指している。(c)AFP/Daphne Rousseau