■摂食と性行動

 免疫を高める信号は「腹側被蓋野(ふくそくひがいや)」と呼ばれる脳の部位から発せられる。この部位には、気分を変える化学物質のドーパミンによって作動する報酬系がある。

 マウスやヒトが、おいしい食事や性的接触による快感を近い未来に体験できると知ると、脳スキャン画像ではこの部位が明るくなる。

 腹側被蓋野から発せられる免疫向上の指令は、危機的状況での急な反応に関与する交感神経系を経由して体中に送られ、細菌と闘う免疫反応を誘発することが今回の研究で分かった。

 今回の実験で観察された関連性では、進化的圧力が重要な役割を果たしている可能性があると研究チームは推測している。

「摂食行動や性行動によって、個体は細菌にさらされる」とロールズ助教は説明する。「報酬系が活性化されると同時に免疫が高まるとすれば、進化上の利点がもたらされると考えられる」

 研究の次の段階では、この因果関係を再現できると考えられる分子を見つけるためのマウス実験を実施する予定だ。これらの分子は、薬剤として利用できる可能性がある。

「これらは、新たな治療標的として使用できるかもしれない」と、ロールズ助教は指摘した。(c)AFP/Marlowe HOOD