【7月4日 AFP】イラクの首都バグダッド(Baghdad)で3日に起きた自爆攻撃で、夫と2人の子どもとの連絡が途絶えているというザイナブ・ムスタファさんは、まだ爆発の形跡が生々しく残る現場に泣きながら夫の写真を持ってきた。3人は前夜、神聖なイスラム教の断食月「ラマダン(Ramadan)」明けに着る服を買いに出かけ、そのまま消息を絶ったのだという。

 同市カラダ(Karrada)地区で発生した車両を使った自爆攻撃では、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出している。爆発の影響で、近くの建物が激しく炎上し、爆発から12時間以上が経過してもなお、黒焦げになった建物からは煙が立ち上っている。これまでに少なくとも119人が死亡している。

 現場近くの通りにはがれきが散乱しており、焼け焦げた建物の中に取り残された犠牲者らの捜索には、数日を要するとみられる。

 民間防衛隊の隊員によると、犠牲者の名簿には、父親と息子、母親と娘など、家族で爆発に巻き込まれたケースもみられたという。遺体の収容は、時間がかかる難しい作業になる見通しだ。

 事件後、家族経営の小売店にいた兄弟2人と連絡が取れないというファドヘル・サーレムさんは、「2人はまだ店の中にいると思う。でも煙がすごすぎて、何も見えない」と取材に答えた。

 また、爆発の影響で崩れ落ちた別の店舗で友人が犠牲となったと話すサミ・カドヒムさんによると、爆発後に大きな炎に包まれ、友人の姿は確認できなかったという。

 バグダッドでは今年に入ってから爆発事件が多数発生しているが、これほど多くの死者が出たのは今回が初めて。爆発した爆弾に仕込まれていた無数の金属片と、爆発に続く激しい火災で被害が拡大した。収容された遺体の身元確認は非常に難航するとみられており、一部ではDNA検査が必要となる場合も想定されている。

 現場にいた人の話によると、事件発生当時、高い建物の屋根から飛び降りた人も多く、何人かは足の骨を折るなどしているという。また、冷蔵庫のなかに隠れていた3人が消火活動終了後に助け出された。(c)AFP/Ammar Karim