【7月1日 AFP】米アップル(Apple)にデザインのアイデアを盗まれ、同社はこのアイデアを使って「iPhone(アイフォーン)」などの製品を販売し巨額の利益を上げたとして、米フロリダ(Florida)州の男性が今週、同社を相手取り110億ドル(約1兆1000億円)以上の損害賠償などを求める訴えを起こした。

 フロリダ州の連邦裁判所に裁判を起こしたのはトーマス・ロス(Thomas Ross)氏。同氏が1992年に考案した「電子リーディング装置」のデザインを、アップルが「ハイジャックして搾取した」と主張している。

 訴えによると、ロス氏は110億ドル以上の損害賠償とさらに100億ドル(約1兆300億円)の不法利得の返還、さらに「妥当な特許権使用料」として今後は少なくともアップルの全世界の総売上高の少なくとも1.5%を支払うよう要求している。

 アップルを相手に本人訴訟(弁護士を立てずに自分自身で行う訴訟)を起こしたロス氏は、自分の構想の概要を示すいくつかの図を描いた。その図を使って特許を出願したが、米特許商標局(USPTO)は1995年、必要な料金が支払われなかったとして出願は放棄されたと決定した。

 ロス氏は昨年、構想の概要を示す図の著作権を登録した。今回の訴訟は、登録された著作権および知的財産権をアップルの製品とパッケージが侵害しているとして起こされた。

 裁判文書でロス氏は、アップルは独自のアイデアを生み出すのではなく「(他人の情報を盗み出す)ごみ箱あさり」を社風にしていると非難。放棄された特許出願書類に描かれていた同氏の発明の図はアップルの製品に「吸い込まれた」のであり、それはなりすまし犯罪と同じだと主張している。

 アップルは2001年にMP3プレーヤー「iPod(アイポッド)」を発売。その6年後の2007年に最初の「iPhone」が発売された。(c)AFP