【6月29日 AFP】英野党・労働党の議員団は28日、ジェレミー・コービン(Jeremy Corbyn)党首(67)に対する不信任動議を採決し、圧倒的多数で可決した。これも英国の欧州連合(EU)離脱危機に端を発した動きだが、ベテラン左派で平和主義者を自任するコービン首相は辞任を拒否した。

 労働組合からの支持を取り付けたコービン氏は昨年、一般党員からの圧倒的支持を得て党首に就任した。この日は議員229人が投票し、賛成172、反対40という大差で不信任となった。ただし、この動議に拘束力はない。

 コービン氏の下では党は後退し選挙に勝てないと批判されながらも党首に就任したコービン氏は、「私は60%の一般党員と支持者らの後押しを受けて新しい政治のあり方を目指して民主的に選ばれた党首であり、辞任することで彼らを裏切るつもりはない」と述べ、辞任しない意向を明らかにした。「きょうの議員らの投票には、法的正当性はない」とも付け加えた。

 過去100年近く同国の政権を担ってきたのは労働党と、デービッド・キャメロン(David Cameron)首相が党首を務める保守党の2党だ。国民投票でEU離脱という衝撃の結果が出て5日、両党はいずれも混乱を極めている。

 労働党議員団と長く不和が続いていたコービン党首には、党の公式方針として掲げていたEU残留のための運動で十分な役割を果たさなかったとして、国民投票の結果が出た直後から辞任を求める圧力がかかっている。

 労働党の混乱の背景には、誰がキャメロン氏の後継となる保守党党首、英首相になっても年内に選挙を実施する可能性があるという臆測が広まっていることがある。(c)AFP/Michael THURSTON