■争奪戦になるほどの人気

 とはいえ、選手がタオルを持ち帰るまでには乗り越えなければならない壁がある。コート脇で辛抱強く待ち、タオルを投げ込んでくれと懇願するファンの声に耳をふさがなくてはならないからだ。人気選手の一人、ジョー・フィルフリード・ツォンガ(Jo-Wilfried Tsonga、フランス)はこう明かす。

「1回戦は自分用、2回戦は知り合い用。そう決めてるんだ。試合をすると、必ずタオルがほしいってファンに頼まれるけれど、『ごめん、先約があるんだ』って断っている」

 一方で、ベスト4入りの実績を持つリシャール・ガスケ(Richard Gasquet、フランス)は、チェンジエンドの休憩中、大会から選手に配られる緑のタオル(緑は男子選手用)ではなく、味もそっけもない白タオルを使用している場面をよく見かける。

 その理由についてガスケは「僕は汗っかきだから、白いタオルの方がよく汗を吸う気がして。何の根拠もないけれどね」としながらも、「実はウィンブルドンのタオルも2枚持ってるよ。家族にあげようと思ってバッグにしまってあるんだ。みんなやってることだよ。素敵なタオルだからね。テニスをやめたときに、すごくいい思い出になると思うんだ」と明かした。

 女子選手に配られるのはピンクのタオルだが、こちらも大人気。そのため、マディソン・キーズ(Madison Keys、米国)は大変な思いをしていることを明かし、「75枚もかばんに詰めて持って帰るなんて、とてもじゃないけど無理。だからこう言うようにしている。大会を1つ選んで。そうすればタオルを1枚持って帰るからって」と語った。

 一方、アナ・イワノビッチ(Ana Ivanovic、セルビア)は、過去12度の出場で数えきれないほどタオルを持ち帰ったというが、その数字はわからないという。その理由について、イワノビッチは「うーん、私には帰る家がないから、わからないわね」と述べた。(c)AFP/Dave JAMES