【6月26日 AFP】イラク軍は25日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」からの奪回作戦を実施中のファルージャ(Fallujah)からIS戦闘員が一般市民に紛れ込んで逃亡することを防ぐため、約2万人の取り調べを進めていると明らかにした。

 イラク軍のファルージャ奪還作戦の開始以来、数万人が首都バグダッド(Baghdad)の西50キロにあるファルージャから避難していた。取り調べの際に治安部隊から殴られたり拷問を受けたりしたと主張する人々もいるという。

 イラク統合作戦軍(Joint Operations Command)によると、拘束された約2万人のうち11605人は釈放されたが、2185人は証人の証言やその他の情報からなんらかの容疑をかけられており、現在は残る約7000人の取り調べが行われているという。

 避難した一般市民が政府軍側にたどり着くと、10代の少年と成人男性は隔離され取り調べを受ける。数時間で釈放される場合もあるが、徹底的な尋問が行われることもあるという。

 ファルージャからの避難民が滞在する収容所では今月中旬、行方不明になっている大勢の男性について尋ねようと、行方不明者の親族がイラク政府当局者に詰め寄った。

 イランが支援するイスラム教シーア(Shiite)派戦闘員で構成され、ファルージャ奪還作戦に参加している民兵部隊「国民動員部隊(Popular Mobilisation)」に拘束された男性は、4日間の拘束中に水も食べ物も与えられなかったと証言している。他の男性たちも、殴られたり、拷問を受けたりしたと話している。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は今月、「イラク治安部隊が一般市民に対して繰り返している暴力の責任を明らかにするよう」イラク政府に呼びかけた。

 HRWによると、ファルージャの北東にある町シジル(Sijr)の戦闘から逃げようとした少なくとも17人が警察や政府側部隊に処刑されたという確かな情報があるという。また、ファルージャの北西にある町サクラウィヤ(Saqlawiya)では、一般市民が刺殺されたり、車に引きずられて死亡したりした事例も報告されているという。

 イラク首相府は先に、ハイダル・アバディ(Haider al-Abadi)首相が虐待をした者は必ず訴追するという「厳しい命令」を出したと発表していた。

 ISは2014年6月、バグダッドの北と西の広大な地域を制圧したが、その後イラク治安部隊が多くの地域を奪還。現在もISが支配下に置いている主要都市は1つだけになっている。(c)AFP