【6月23日 AFP】パキスタン南部のカラチ(Karachi)で22日、同国で最も有名なスーフィー(Sufi、イスラム神秘主義)の音楽家の一人であるアムジャド・サブリ(Amjad Sabri)さんが何者かにオートバイから撃たれて死亡した。警察は「テロ行為」とみて捜査に乗り出した。

 警察関係者がAFPに語ったところによると、45歳前後とされるサブリさんは市東部にある自宅からテレビ局のスタジオに車で向かっていたところ、車に横付けしてきたオートバイに乗った複数の襲撃犯から銃撃された。

 地元のアッバシ・シャヒド病院(Abbasi Shaheed Hospital)の関係者によると、サブリさんは銃弾5発を浴びており、病院で死亡が確認された。同乗していた親族の一人も重体だという。

 警察関係者は「これは標的殺人であり、テロ行為だ」と断定。ただ、考えられる容疑者の名前は示さなかった。

 通行人が携帯電話で撮影した映像には、サブリさんの頭部が右肩にもたれかかり、座っていた運転席側の道路に血だまりができている様子が捉えられている。

 サブリさんは、13世紀にさかのぼり南アジア全域で人気の伝統的なイスラム教の祈祷(きとう)音楽「カッワーリー(Qawwali)」の歌手。カッワーリーはスーフィズムと関連が深く、アフガニスタンの旧支配勢力、タリバン(Taliban)などのイスラム教厳格派から異端視されている。

 タリバンや他のイスラム過激派は近年、スーフィーのモスクや霊廟(れいびょう)に対する大規模な攻撃を繰り返している。2010年に東部ラホール(Lahore)のダーター・ダルバール(Data Darbar)霊廟が爆破された事件では40人余りが犠牲になった。(c)AFP/Ashraf KHAN