クイーンズランド(Queensland)州の一部地域では、コアラが「事実上絶滅」していることが最近の州立大学の研究で明らかになった。また、ニューサウスウェールズ(New South Wales)州では1990年以降、コアラの総数が30%以上減少した。両州と豪首都特別地域(Australian Capital Territory)は、コアラを絶滅の恐れが高い「危急種」に指定している。

 コアラのクラミジアはしばらく前から確認されていた。発症すると失明や不妊の原因になる他、死に至ることもある。人がかかるクラミジアとは種類が異なり、最新の研究によれば入植初期に欧州から持ち込まれた家畜からコアラに感染した可能性が示唆されている。

■まるで「凌遅刑」

 コアラ専門病院が海辺の町ポートマッコリーに設立されたのは1973年のこと。だが、近年は治療するコアラに目立った変化が起きている。フラナガン臨床部長によると、連れて来られるコアラの大半が高齢で、入院数も激減した。コアラの個体数そのものが減り、死に絶えつつある兆候ではないかと懸念する。

 フラナガン氏は、都市開発のために森林が伐採されコアラの生息地が失われたことが、この変化を引き起こした要因だとみており、まるでコアラに対する「凌遅(りょうち)刑」だと語った。

 土地開墾の結果、若いコアラは元の生息地を追われ、新たなすみかを築く場所を遠く離れて探さなければならず、それによって自動車事故に遭ったり、他の動物に襲撃されたりしやすくなると、病院コーディネーターのミック・フィーニー(Mick Feeney)氏は言う。

「発展の著しい地域の場合、域内だけでこの問題に対処するのは簡単なことではない」と、ポートマッコリーのピーター・ベッセリング(Peter Besseling)市長はAFPの取材に語った。「人々は海岸沿いに住みたがる。われわれは、長期的にコアラを保護できる方策を考える必要がある」 (c)AFP Glenda KWEK