【6月20日 AFP】サッカー欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)の試合中に、発煙筒を投げ入れたと疑われるクロアチアのサポーターが、次のスペイン戦でも妨害を画策していることが明らかになった。

 17日にサンテティエンヌ(Saint-Etienne)で行われたチェコ戦で、少なくとも10本の発煙筒がクロアチアサポーターのいる観客席から投げ入れられた事件を受け、欧州サッカー連盟(UEFA)は現在懲戒手続きを進めており、20日にも処分が決まるとみられる。

 この騒動に対しクロアチアのアンテ・チャチッチ(Ante Cacic)監督は、このような行為をはたらいたサポーターを「スポーツ・テロリスト」と呼び激怒。同国のコリンダ・グラバルキタロビッチ(Kolinda Grabar-Kitarovic)大統領も、暴力的なサポーターを「クロアチアの敵」と糾弾している。

 クロアチア1部リーグのハイデュク・スプリト(Hajduk Split)を応援する「トルチダ・スプリト1950(Torcida Split 1950)」の過激なサポーターとみられるグループは、21日にクロアチアとスペインの試合が予定されているボルドー(Bordeaux)のスタジアムの図面や、当日の計画についてフェイスブック(Facebook)に投稿。図面には「別のプラン」と記されている。

 問題の投稿には、「お前たちは、この国の恥だ」というものや、「恥を知れ、おまえたちみたいなフーリガンのせいだ。おまえたちのせいでクロアチア人であることが恥ずかしい」という攻撃的なコメントがみられたという。

 このサポーターは騒動が起きたチェコ戦の数時間前にも、サンテティエンヌ(Saint-Etienne)のスタジアムの同じような図面を投稿していたとされている。

 一方でクロアチアサッカー連盟(HNS)は、試合を妨害しようとしているフーリガンの存在について、UEFAとフランス当局に警告していたと主張。また、HNSが事件の裏にはハイデュク・スプリトのサポーターがいると述べている。一方で問題のグループは疑惑について、「ねつ造であり事実無根である」と反発している。

 クロアチアのサッカーファンは、過去にも試合中に発煙筒を投げ入れたり、ナチス・ドイツ(Nazi)を思わせるようなスローガンを合唱したりする行為で知られており、今大会に先立ち、クロアチア警察はトラブルを起こす可能性のある人物として、326人のリストをフランス側に提供している。

 過激なサポーターの中には、ハイデュク・スプリトのほかに、現リーグ王者のディナモ・ザグレブ(Dinamo Zagreb)のファンもいるとみられているが、元代表ストライカーのダヴォル・シュケル(Davor Suker)氏がHNSの会長に就任して以降、クロアチアではここ4年間でフーリガン行為が増加している。

 サポーターの間では、ディナモ・ザグレブのズドラフコ・マミッチ(Zdravko Mamic)元会長とシュケル氏と連盟が親密な関係にあるとうわさされている。

 マミッチ元会長は今年4月、サッカーで不当な利益を得ていたとされる莫大な額の汚職容疑で告訴されており、サポーターたちは元会長を非難するとともに、代表チームへの抗議行動を行っている。(c)AFP