【6月20日 AFP】第84回ルマン24時間耐久レース(Le Mans 24 Hour Race 2016)は19日、ルマン(Le Mans)のサルト・サーキット(Circuit de la Sarthe)で決勝のゴールを迎え、最終盤にエンジンがストップしたトヨタ・ガズーレーシング(Toyota Gazoo Racing)を抜き、ポルシェ(Porsche Team)が劇的な形で優勝を飾った。

 30年のルマン挑戦で悲願の初優勝を引き寄せかけていたトヨタだったが、中嶋一貴(Kazuki Nakajima)がドライブしたトヨタTS050 HYBRID(Toyota TS050 HYBRID)がストップし、ニール・ジャニ(Neel Jani)が駆るポルシェ919ハイブリッド(Porsche 919 Hybrid)が優勝をさらった。

 雨が降り、セーフティーカーが投入される中スタートしたレースで、ポルシェ2号車を駆ったジャニ、ロマン・デュマ(Romain Dumas)、マルク・リープ(Marc Lieb)は、26万人以上の観客の前で歓喜に沸いた。

 それにひきかえ、トヨタにとっては最悪のタイミングでルマンのジンクスが襲いかかった。

 レース開始から23時間55分を経過するところで中嶋の駆るトヨタ5号車が突如スローダウンすると、トヨタのガレージは沈黙した。ポルシェ2号車に約1分半の差をつけていた中嶋だったが、突如すべてが崩れて一気にスピードを失い、ジャニの急接近を許した。

 残り3分のところで中嶋のマシンがホームストレート上にストップすると、その脇をジャニがすり抜け、優勝を手にした。最終的にトヨタ5号車は失格となった。

 何とかゴールに向かおうとする中、中嶋はチームの無線を通して、「今にも泣いてしまいそうだ」とつぶやいた。

 小林可夢偉(Kamui Kobayashi)、ステファン・サラザン(Stephane Sarrazin)、マイク・コンウェイ(Mike Conway)がドライブしたトヨタ6号車が2位に入り、アウディ(Audi Sport Team Joset)の8号車が3位に入った。

 アウディはツイッター(Twitter)で、「なんというル・マンのレースだ!」と投稿し、トヨタを「心の勝者」と称した。

「ルマンが残酷になることは承知している。しかし、トヨタに起こったことは信じられない」

(c)AFP