【6月17日 AFP】自動運転車の米新興メーカーが16日、米コンピューター大手IBMのスーパーコンピューター「ワトソン(Watson)」を活用する電気自動車を公開した。

 公開されたのは、3Dプリントされたミニバス「Olli」。アリゾナ(Arizona)州を拠点とする新興メーカー、ローカルモーターズ(Local Motors)が手掛けた定員12人の電気自動車だ。

「Olli」は配車アプリのウーバー(Uber)のように、利用客が携帯アプリで交通手段を確保するオンデマンド方式を念頭に開発された。車両は「マイクロファクトリー」で、数時間内に「印刷」することができるという。

「Olli」はメリーランド(Maryland)州ナショナルハーバー(National Harbor)で今後数か月にわたり試験的に運行される他、ネバダ(Nevada)州ラスベガス(Las Vegas)とフロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)でも試験運行が予定されている。

 ローカルモーターズによると、独ベルリン(Berlin)、デンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)、豪キャンベラ(Canberra)を含む世界数十都市での試験的導入についても協議中だという。

 自動運転車の市場への投入まで、さらなる時間を要するとしている米グーグル(Google)やその他自動車メーカーを横目に、ローカルモーターズの共創立者で最高責任者ジョン・ロジャー(John Rogers)氏は、法的に許可されれば同車の利用はすぐにでも可能と述べる。

「Olli」の運転制御は、提携するソフトウェアおよび技術専門業社と共同開発したシステムが担う。IBMのワトソンは、運転には関与せず、利用客が「Olli」と「会話」できるユーザーインターフェースを提供する。これには30以上のセンサーと、IBMのクラウドからのデータのストリームが頼りだ。

 ワトソンとの会話で利用者は、車両の仕組みや行き先、さらには運転中の判断などについて訊ねることができる。ドライバーが最も恐れる質問──「まだ着かないの?」 も大丈夫だ。乗客の個人的な嗜好(しこう)に応じて、人気のレストランや史跡のお勧めもできるという。

 ローカルモーターズによると、ラスベガスは同車を2台購入しており、マイアミ・デイド(Miami-Dade)郡も同車による人員輸送を模索中だ。ローカルモーターズには、これまで少なくとも50か国からの引き合いがきているという。(c)AFP/Rob Lever