【6月14日 AFP】(更新)米フロリダ(Florida)州で発生した同国史上最悪の銃乱射事件を受け、銃規制推進派の間では、銃の販売規制を求める声がまたしても高まっている。しかし、米連邦捜査局(FBI)の監視対象だったこともある男が合法的に購入したアサルトライフルで大量殺人を犯した今回の悲劇は、銃規制を求める人々が直面している課題の大きさを示している。

 オマル・マティーン(Omar Mateen)容疑者(29)は12日未明、フロリダ州オーランド(Orlando)の同性愛者向けナイトクラブ「パルス(Pulse)」で銃を乱射。これにより、49人が死亡、53人が負傷。容疑者は警察との銃撃戦で死亡した。

 両親がアフガニスタン出身で米国籍を持つ同容疑者は、インターネットで過激思想に染まったとFBIはみており、数年前には過激主義者の疑いで当局の捜査対象となっていた。

 容疑者は当時、特殊部隊用に開発されたアサルト(攻撃用)ライフルと拳銃で武装していた。2012年にコネティカット(Connecticut)州のサンディフック小学校(Sandy Hook Elementary School)とコロラド(Colorado)州オーロラ(Aurora)の映画館で、そして昨年12月にカリフォルニア(California)州サンバーナーディーノ(San Bernardino)でそれぞれ起きた銃乱射事件でも、アサルトライフルの一種「AR15」が使用された。

 今回の銃乱射事件のニュースが大きく報じられるや否や、政治家たちは即座にこの銃規制論争に飛びついた。米大統領選で民主党の指名獲得を確実にしたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官は攻撃用銃器が入手しやすい現状を批判し、「もしテロリストとのつながりが疑われる人物としてFBIに監視されているのならば、何の質問も受けずに銃を購入できるべきではない」と訴えた。

 銃関連の死者の統計をとるウェブサイト「銃暴力アーカイブ(Gun Violence Archive)」によると、米国で銃により死亡した人の数は、2015年で1万3429人、今年は現時点で5962人に上る。自殺を含む銃火器による年間死者数は、約3万人に達するという。

 政治家などの発言の正確性を評価するウェブサイト「ポリティファクト(PolitiFact)」によると、1968年以降に銃で殺害された米国人は、米国史上の全ての戦争の犠牲者を合わせた数よりも多い。