【6月14日 AFP】米フロリダ(Florida)州オーランド(Orlando)の同性愛者向けナイトクラブで起きた銃乱射事件は、米大統領選の民主・共和両党の指名獲得争いでそれぞれ勝利を確実にしたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官とドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の明確な違いを浮き彫りにした。クリントン氏は13日、扇動行為に対する注意を喚起。一方のトランプ氏は、一部の国々からの移民の入国を禁止するべきだと主張した。

 米ニューハンプシャー(New Hampshire)州で演説したトランプ氏は、これまでよりさらに辛らつな口調で、クリントン氏は「過激なイスラムのテロリストがわが国に押し寄せるのを容認」しようとしていると非難。イスラム過激思想についてクリントン氏は「何も分かっていない」との見方を示した。

 また、「私が大統領になったら、欧米とわれわれの同盟国に対するテロの歴史があることが実証されている地域からの移民は、こうした脅威に終止符を打つ方法が完全に分かるまで入国禁止にする」と表明。米国はシリア難民の受け入れを中止すべきだという主張を繰り返し、米国には「心の中に憎悪」を抱いている人々がいると警鐘を鳴らした。

 一方のクリントン氏は演説でトランプ氏には触れず、国民に対し、党派による二分化を避け、テロを打倒するために「結束」するよう呼び掛けた。さらに、「扇動的な反ムスリム発言」や信仰する宗教に基づいた禁止措置は、テロリズムに反対する大多数のイスラム教徒を傷つけるだけだと主張。扇動行為ではテロを止められないと訴えた。

 クリントン氏は、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」との闘いや米国内の銃による暴力を抑制する必要性を強調したが、トランプ氏は、国内のイスラム教徒が互いをかばい合っているとの疑惑に矛先を向けた。

 トランプ氏はABCテレビに対し、「こうした正気を失った人たちの周りにいる人々に、声を上げさせなければならない」と語った。同氏は、昨年12月に米カリフォルニア(California)州サンバーナーディーノ(San Bernardino)で14人が死亡する銃乱射事件が起きた際にも、容疑者夫婦が過激思想に傾倒していたことを隣人や身内が知りながらも当局に通報しなかったと非難していた。(c)AFP/William Edwards, with Michael Mathes in Washington