【6月10日 AFP】欧州選手権2016(UEFA Euro 2016)の開幕を控えたフランス・パリ(Paris)のパレ・ロワイヤル(Palais Royal)で9日、サッカー界の伝説、ペレ(Pele)、ディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)両氏が率いるチームが対戦した。マラドーナ氏は、往年のライバルであるペレ氏を「アイコン」と称賛。両雄は「親善試合」の場で和解に至った。

 ブラジルを代表する75歳の英雄と、アルゼンチンの伝説である55歳のマラドーナ氏は、5対5で行われた試合のさなかに抱擁を交わすなど、長年のわだかまりに幕を引いた。

 1986年のW杯メキシコ大会で、アルゼンチンを優勝に導いたマラドーナ氏は、「ペレに感謝だ。われわれは彼がどんな存在か、いつだって分かっている。彼のようなアイコンが必要なんだ」とコメントした。

 これに対して、W杯を3度制しているペレ氏も打ち解けた口調で、「最も大切なのは友好のメッセージだ。このような機会を設けてくれた友人のマラドーナに深く感謝する。そして、今日ここに集まった選手に大きな拍手を贈ろう。これは友好の瞬間だ」と返答した。

 2000年に国際サッカー連盟(FIFA)が20世紀の最優秀選手を選ぶ投票を行った際、両者の間には確執が生じていたが、今回のイベントは険悪な雰囲気とはかけ離れたものになった。

 インターネットによる投票では、マラドーナ氏が難なく勝利した。しかし、オンラインユーザーには若者が多いため、FIFAはマラドーナ氏に票が偏ったと判断。FIFA公式マガジンの読者と選考委員による投票を敢行した結果、今度はペレ氏が圧倒的多数で1位に選ばれた。

 この結果を受け、FIFAはペレ、マラドーナ両氏を史上最高の選手として、賞を分け与えることに決定した。

 30分間の親善試合では、マラドーナ氏が飛び入り参加して観客を沸かせた。一方、1月に腰の手術を受けたばかりのペレ氏は、指揮官としてタッチラインにとどまった。

 欧州サッカー連盟(UEFA)とスイスの高級腕時計ブランドが主催した今回のイベントでは、マラドーナ・チームとして、元フランス代表ダビド・トレゼゲ(David Trezeguet)氏、元イタリア代表GKアンジェロ・ペルッツィ(Angelo Peruzzi)氏、元オランダ代表クラレンス・セードルフ(Clarence Seedorf)氏らが参戦。ペレ・チームでは、1994年W杯米国大会の優勝メンバーで、元ブラジル代表のベベット(Bebeto)氏、リオ・ファーディナンド(Rio Ferdinand)氏、ジダ(Dida)氏、フェルナンド・イエロ(Fernando Hierro)氏、エルナン・クレスポ(Hernan Crespo)氏がプレーした。

 試合は友好的に、8-8の引き分けで終了した。(c)AFP/Diego Reinares