クリントン氏とトランプ氏 ─ その強みと弱み
このニュースをシェア
【6月10日 AFP】米大統領選で、民主党の指名獲得争いで勝利宣言をしたヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官(68)と、共和党の指名獲得を確実にしているドナルド・トランプ(Donald Trump)氏(69)は同世代だ。しかし両者の共通点はそれぐらいしかない。経歴や性格、政治家としての素質も、これ以上ないほど懸け離れている。
今年11月の本選まで残り5か月。以下に両者の強みと弱みをまとめる。
■クリントン氏:経歴は十分、好感度は足りず
- 歴史に名を残す女性
女性の政界進出に詳しいアメリカン大学(American University)のジェニファー・ローレス(Jennifer Lawless)氏はAFPに対し、「ヒラリー・クリントン氏が勝てば、白人男性以外の大統領が2代続くことになる」と指摘する。
クリントン氏が先駆者の役割を果たすことで、民主党の女性ら、そして一部の男性に、政治プロセスへのより大きな参加を促す可能性もある。
俳優のライアン・ゴズリング(Ryan Gosling)さんは英夕刊紙イブニング・スタンダード(Evening Standard)に「女性の力が必要だ。僕は昔から女性の方が好きだった。女性たちは僕たちより優れている。女性のおかげで僕はより良い人間になれる」と語った。
- 非の打ちどころのない経歴
クリントン氏は、ヒラリー・ローダム(Hillary Rodham)の名で知られていた結婚前から、若き弁護士として女性や子どもたちのための活動に携わっていた。申し分のない立派な職業だった。
夫であるビル・クリントン(Bill Clinton)元大統領の政治家人生を支えるため、成功していた弁護士業を離れ、夫と共にアーカンソー(Arkansas)州知事公邸へ、さらにはホワイトハウス(White House)へと移り住んだ。
そして夫に続き、自身も政治の世界に。ニューヨーク(New York)州選出の上院議員を2期務め、さらに第1期バラク・オバマ(Barack Obama)政権では国務長官に就任した。
ラスベガス(Las Vegas)の犯罪捜査官で、クリントン氏を支持しているという60歳の女性は今年2月、「大統領にこれ以上適した人は現時点では他にいない」と話していた。
- 一連のスキャンダル
とはいえクリントン氏の豊富な政治経験に全く汚点がなかったわけではない。同氏を取り巻くスキャンダルは共和党の好餌となり、共和党は1990年代から同氏に対して疑わしい交友関係を持ち倫理的判断の甘い女性というレッテルを貼ってきた。
その醜聞は多岐にわたる。夫妻の不動産投資に絡むいわゆる「ホワイトウォーター疑惑」(最終的に夫妻に非はないと認められた)に始まり、国務長官時代にはリビア・ベンガジ(Benghazi)で発生した米領事館襲撃事件、連邦捜査局(FBI)の捜査対象にもなった私用メールアドレスの公務使用問題もある。
これらのスキャンダルにより、クリントン氏は近年最も不人気で二極化を招く民主党大統領候補となっている。
- スピーチが苦手
クリントン氏は3月、「まだ気付いていない人のためにあえて言うと、私は夫やオバマ大統領とは違い、天性の政治家というわけではない」と認めた。
同氏のスピーチは政策の詳細に深入りし過ぎてスムーズに流れないことが多い。ただ演説が不得意な大統領は過去にもいた。1952年に選出されたドワイト・アイゼンハワー(Dwight Eisenhower)氏だ。